めざせ！家計マネジメントの達人＜第4回＞
家計と発展「毎月1万円で余裕資金1000万円！」
2008.7.4
余裕資金１０００万円を貯めるには？
Ｑ． 普通のサラリーマン世帯ですが、教育・住宅・老後資金以外に、余裕資金を１０００万円ぐらい貯められるような夢は可能なのでしょうか？
Ｄさん（３７歳・主婦） ／ 夫（４０歳・会社員）、長男１１歳、次男８歳
Ａ．「節約」プラス「運用＝お金に働いてもらってお金を増やすチカラ」を利用すれば、毎月1万円の積立からでも達成可能です。
※ めざせ！ 家計マネジメントの達人シリーズ、これまでの内容
めざせ！ 家計マネジメントの達人＜第１回＞ Let's 黒字化宣言 ＞＞
めざせ！ 家計マネジメントの達人＜第２回＞ 家計と黒字 「貯蓄をふやす智恵」 ＞＞
めざせ！ 家計マネジメントの達人＜第３回＞ 家計と計画性 「人生トータルで黒字化をめざそう！」 ＞＞
下記の表をごらんください。毎月１万円ずつ積み立てると、運用を全くしない場合は、１０００万円貯めるのに約８４年 もかかってしまいます。しかし、毎年平均７％で複利運用できる金融商品で運用していくと、２８年で達成できる計算になります。 月２万円なら２０年で、３万円なら１６年で１０００万円に手が届く計算です。
また、運用をスタートする際に、元手のお金を投入できれば、さらに達成スピードは速まります。ですから、余裕資金をつくるために、家計とは別枠で、コツコツと一定のお金を運用に回すことができれば、意外と早く目標額は達成できる計算になりますね。
＜ １０００万円達成するのに、およそ何年かかるの？ ＞
※税金は考慮していません。
Ｄさん（以下――） 毎月１万円で、夢がかなえられるんですね！ でも、年平均７％の運用 って本当に可能なのですか？
ゆりもと（以下「ゆ」） 下記のグラフをごらんください。これは１９５０年から約６０年間の、アメリカと日本の株価の推移です（正確には各国の代表的な株価指数です）。単年度は上がった年も下がった年もありますが、長期で見ると、日米ともに約６０年間で株価は、約８０倍〜約１００倍になっています。これを年率に直すと、７〜８％ということになります。
―― でも、株は元本保証ではないですよね。よく株で損した人の話を聞くんですけど。
ゆ はい、確かに個別の株式投資は勉強しないと難しいと思いますが、初心者の方でも、なるべく失敗しにくく、運用をスタートして成功しやすい３つのポイントがあります。この３つを押さえておくと、お金を減らすリスクを小さくしながら、運用を始めることができますよ。
ポイント１ ： １０年以上運用に回しておける余裕資金でする
１年だけ株式市場全体に投資すると、１年後お金が減っている確率は２〜３割ですが、１０年間投資を続けると、１０年後お金が減っている確率は２〜３％に減っているというデータがあります。１０年以上引き出さずに済むお金で運用することで、元金が減るリスクをかなり小さくできます。
ポイント２ ： 投資対象を分散する
ポイント１の効果は、ひとつの会社の株にだけ投資する場合にはあてはまりません。大きく増えることもあれば、会社が倒産して全額なくなる危険もあります。ですから運用ビギナーさんには、運用資金を数十〜数百社に分散投資してくれる「投資信託」がおすすめです。
ポイント３ ： 投資タイミングの分散
運用商品の値段は毎日変わりますので、毎月一定額を購入していくことで、割高なときにたくさん買ってしまうことを防げます。まとまったお金を投資するときは、値段が下がっているときに一気に投資するとよいのですが、タイミングがよくわからないときは、何回かに分けて投資するとよいでしょう。
―― この３つを押さえて始めればよいのですね。でも、初めて聞く話ばかりで頭がこんがらがってきました。具体的にはどうすればいいのですか？
ゆ そうですね。最初に始めるのでしたら、たとえば投資信託の種類で「インデックス型」というタイプのものを長期運用するつもりで毎月一定額、積立購入していけば、３つのポイントを押さえた運用をスタートできます。そうして経験を積んで、今回お話させていただいたものより、もっとよい金融商品を見つけたら、切りかえてみるのもよいでしょう。
―― そうですか。さっそく教えていただいたことを参考に、１０００万円を目標にがんばってやってみます！
平均的なサラリーマン世帯では、人生の３大資金である「教育費」「マイホーム」「老後資金」を準備するだけでも、かなり計画的にがんばる必要があります。
※ ３大資金の準備法は、＜第３回＞家計と計画性 「人生トータルで黒字化をめざそう！」 をご参照ください。
それにプラスして、今回の質問者のように、余裕資金を生み出すことで、ふだんはあきらめていた夢をかなえられるとしたら、素晴らしいことですね。
今回は、余裕資金１０００万円をめざした運用プランをご紹介しました。元手は３つ。「節約」「運用のチカラ」「時間」です。
節約で、小さくてもいいから自由になるお金を毎月増やしていくこと、お金に働いてもらって資産を増やせる「運用」のチカラを活用すること、そして貯蓄＆運用をコツコツと一定の期間続けることです。
まずは月１万円程度からでも、運用を始めてみましょう。
何もアクションを起こさなければ、「いつかかなえたい夢」で終わってしまいますが、一歩を踏み出せば、「３０年程度で実現の可能性がある目標」に変身するのです。 そして、貯蓄ペースを上げたり、運用のスキルを上げることで、目標達成までの時間を２０年、１５年と縮めることもできるかもしれません。
まずは、あなたの「夢」を実現可能な「目標」に変身させるための、最初の一歩を踏み出してみませんか？
ゆりもとひろみ
雑誌『アー・ユー・ハッピー？』2008年1月号掲載分 2008.7.4 再編集
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