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住宅購入 - 3つのHow Much?

2009.5.14

マイホームの夢を実現するには? (相談者: Yさん 30代主婦 / 夫、子ども1人)

A. 住宅購入「3つのHow Much?」をマスターしよう。

3つのHow much? 住宅購入の夢を実現するには、計画的な準備が必要です。まず「いくらかかるか」を知りましょう。額面の金額以外にも諸費用や管理費、税金などの全体像を知っておく必要があります。次に「いくら借りられるか」を知りましょう。それがわかれば、どのくらいのローンを組めばいいかがわかります。そして「いくら返せるか」を知ることで、家計のメドが立っていきます。

今回は、この「3つのHow Much?」を考えていきましょう。

1.いくらかかるの?

「購入前に準備するお金」と「購入後にかかるお金」があります。

■ 購入前に準備するお金

 (1) 頭 金

頭金とローン 物件購入価格のうち、住宅ローンを組まずに現金で投入できる資金を「頭金」といいます。以前は公的融資(旧住宅金融公庫など)が物件価格の80%までであったため、「頭金2割以上が目安」といわれていました。

90%や100%貸してくれる金融機関もあるので、頭金が2割ないと家が買えないわけではありませんが、あまり少ないとローンの額が大きくなって、無理な住宅取得になりやすいので、できれば少しでも貯蓄を増やしておきたいものです。ほかには、親からの贈与を受けて頭金を増やす方法もあります。

頭金が少ない場合のデメリット

頭金が少ないと 住宅ローンの返済額が増える、支払利息が増える。
家を売りたくなった場合、売却価格よりローン残債のほうが多くなり、売却時に差額の現金が用意できないと売ることができなくなる。
住宅ローンの借り換えも担保割れで利用できるローンが限られてくる。


 (2) 諸費用

物件購入価格以外に、取得にかかる費用を「諸費用」といいます。おもに税金、住宅ローンにかかる費用、引越し代や家具購入費となります。 目安としては、物件価格の3〜7%前後となりますので、物件価格4,000万円の場合は、120万〜280万円となります。

諸費用もローンでまかなうことができる場合もありますが、住宅ローンより高い金利になるため不利ですし、諸費用分の貯蓄ができないような家計で高額の住宅ローンを組むのは、おすすめできません。 最低でも「諸費用+少しでも頭金分の貯蓄」を準備したいものです。

おもな諸費用は以下の通りです。
諸費用

■ 購入後にかかるお金

 住宅ローン返済 と 維持コスト

マンションの場合は、管理費・修繕積立金・駐車場代などを毎月支払うことになります。 戸建の場合は、自主的に修繕計画を立て、リフォーム代などを準備する必要があります。

固定資産税・都市計画税は、不動産(土地建物等)を所有している間、納税が必要になります。

また、「フラット35」などの場合は、団体信用生命保険料(住宅ローン残高の約0.3%)が年払いの形で発生します(民間金融機関の多くは、団信が金利に含まれており別途支払いはありません)。

 ワンポイント・アドバイス
相続時精算課税

子が20歳以上、親が65歳以上の場合に、2500万円までは贈与税がかからず、相続発生時に精算するという制度。一度使うと以降、毎年の贈与税110万円控除は使えなくなる、相続税がかかるくらいの財産がある場合は不利になるケースもあるなどの注意点がありますが、使える方は利用しましょう。

金利によって返済額はこんなに違う!

支払総額 3000万円を35年ローンで借りた場合、金利3%の場合の返済総額は4849万円です。金利が2%の場合の返済総額は、4170万円となり、なんと約680万円も支払利息が減らせます。

ローンの金利種類は大きく分けると「固定型」「変動型」「固定期間選択型(一定期間だけ固定金利)」などがあります。「固定型」は高めですが、今後返済額が上がる心配がないので、返済計画を立てやすい点がメリット。「変動型」は固定金利に比べて低い金利であることが多いのですが、今後金利が上昇すると返済額がアップする可能性があるので注意が必要です。自分の返済計画に合った金利選択をすることはとても重要です。

2.いくら借りられるの?

金融機関でローンが組めるかどうかの審査には、大きく2つの基準があります。

(1) 融資比率

物件価格に対する住宅ローンの割合をいいます。「フラット35」は 以前は融資比率90%までOKでしたが、現在は100%までOKになっています。 他の金融機関でも100%OKなケースもありますが、100%超というのは、原則ありません。また、中古物件を購入する場合は、物件価格より担保評価を低くされるケースもあり、希望額より少ない金額しか借りられないこともあります。

 (2) 返済比率

税込年収に対する年間のローン返済額の割合をいいます。 年間返済額が最大でも税込年収の35%以内であることが、ローンの審査基準となります。 返済年数は(75歳−本人の年齢)がMAXとなります(一部80歳完済可の金融機関もあります)。

 ある金融機関の例 (金融機関によって違います)
返済比率例

 では、一例として、
年収650万円の人が、4000万円を35年返済、全期間固定金利4%で借入れできるか?
を見てみましょう。

まず、審査基準の「税込年収35%」を計算すると
650万円×35%= 227.5万円

次に「4000万円を35年返済、金利4%」で、年間いくら支払うか計算すると、
4000万円÷100万円×(金利4%、35年返済で100万円当たりの返済額4428円)×12カ月=
2,125,440円 < 227.5万円

ということで、借入れの審査が通る可能性があり♪ となります。

 計算がややこしいので、下に簡単な試算をあげておきます。

 金利4%で100万円あたりの返済額
金利4%あたりの返済額

 ※返済比率の試算は4%またはその金融機関の全期間固定型金利を使うのが一般的です。

ワンポイント・アドバイス
ハザードマップで断層や浸水リスクをチェックしよう!

近年、各市町村で防災への取り組みが進み、「ハザードマップ」というものを作成している自治体が増えています。市町村の「断層マップ」「洪水が起きた場合の浸水マップ」などを独自で作成しておりWebサイトで確認できる自治体もあります。購入予定のエリアの地勢リスクが知りたい場合は、市町村に問い合わせて、ハザードマップを入手しましょう。

昭和56年以前のマンションは要注意!

1978年(昭和53年)の宮城県沖地震の後、建物の耐震性が大幅に見直され、昭和56年6月に新耐震設計基準が導入されました。それ以降着工の建物は、新耐震基準に適合しています。阪神淡路大震災の際にも、新耐震基準による建物は被害が少なかったといわれています。しかし昭和56年以前の建物は新耐震基準をクリアしていない物件が多いので、中古購入を検討する際は注意が必要です。

50uは「壁芯(へきしん)」と「内法(うちのり)」で運命の分かれ道!

面積 登記簿面積が50u以下の物件は、税金の面での優遇が受けられないケースが多いので、注意が必要です(例:登録免許税や不動産取得税の軽減措置が受けられないなど)。

マンションの広告などには広く見せるため「壁芯」といって、隣の部屋との壁部分の半分を加えて専有面積として表示しますが、登記簿上の面積は「内法」といって、壁から内側の実質の住空間をさします。「内法」で50u以上かチェックしましょう。

3.いくら返せるの?

「2.いくら借りられるの?」で計算したのは、金融機関が最大いくら貸してくれるかという計算ですが、実際には、「借りられる金額」と「返せる金額」は違います。下記の簡易計算で、年間返済額がいくらまでなら無理なく返していけるかを、試算してみましょう。

無理なく返せる返済額(簡易計算)

簡易計算
ローン返済額
※上記はあくまで簡易計算です。今後、夫婦の収入見込みの変化や、お子さまの教育費のかかり方によって、可能な返済額は変動する可能性があります。詳細な試算を出したい場合は、ライフプランを作成することをおすすめします。

物件探しの前に資金計画を立てましょう
よくある「失敗パターン」って?

「住宅購入」というのは、たくさんの専門知識必要なイベントです。

購入対象である「不動産選び」で失敗しないことはもちろん大切ですが、多くの方は「住宅ローン」という高額の金融商品を利用するわけですから、こちらの研究も欠かせません。そして住宅ローン選びの前段階として、「住居費に出せる予算はいくらなのか」「何歳までにローンを払い終える必要があるのか」といった資金計画が重要になってきます。

よくある失敗パターンとしては、「資金計画がアバウトな状態で物件探しを始めた結果、営業の人にすすめられるままに、ローンを最大限で組まないと買えないような物件がほしくなって、無理なローンを組んでしまった」というものです。

よい物件ほど予算がかかるのは当然ですが、今後20年30年にわたって、お子さまの教育資金や老後資金を準備しながら無理なく返せる金額と、あまりにもかけ離れた高額のローンを組んでしまうと、後が大変です。

「早めに住宅取得、早めの返済」もアリ

これからの時代は、右肩上がりでお給料が上がっていく人ばかりではありませんので、きちんと完済できる予算での住宅購入を考えることが安全です。

長期の「固定金利型」なら、毎月の返済をしながら、いくらの繰り上げ返済をすれば希望年齢までに完済できるか」を把握しておくとよいでしょう。「変動金利型」を選択するなら、今後の金利上昇により支払い増に対応できるかどうか、考えておく必要があります。

住宅ローンの返済シミュレーションや、ライフプランを作成することで、住宅購入のタイミングや購入後の収支を見通すことができますので、FPなどに相談するのもよいでしょう。

最低ラインとしては、「諸費用分の資金のメド」がついていれば、完済までの住居費負担をいちばん有利にできるタイミングで、住宅取得をめざしましょう。現在、家賃を全額負担しているご家庭なら、早めに住宅取得に踏み切ったほうが、定年までに完済できるケースも多いでしょう。一方、社宅などで家賃負担が少なく済んでいるご家庭は、できるだけ取得を遅らせて、現金を増やしていくほうが、生涯の収支がよくなるケースが多いといえます。

金利の動向はしっかり見ておきましょう

家 金利の情勢としては、いろいろな要因が絡んでいますが、長期的には上昇していくと見られていますので、30年以上のローンを組む方は「固定金利型」や長めの「固定期間選択型」を選ぶほうが安全といえます。

ただ、長期金利も変動が激しく、融資実行が数ヶ月ずれるだけで、金利が0.5〜1%近く変化することもあります。長期金利が高い時期に固定金利でローンを組むと、負担の大きいまま何十年も払い続けることになりますので、住宅取得をすすめるときには、金利の動向には注意を払っておくのが賢明です。

ゆりもとひろみ  

雑誌『アー・ユー・ハッピー?』2008年10月号掲載分 2009.5.14 再編集


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