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[ 豊かにいこう! 女性が自立するためのお金と相続シリーズ ]
第3回 繰上げ返済と資産運用、どっちがお得か徹底検証!

2016.03.20

ここ1、2年は住宅購入のご相談や、住宅購入後の資産管理のご相談がとても増えています。共通して聞かれるのが、 「資金が貯まったら、繰り上げ返済に回した方がよいですか? それとも何か違う形で活用したほうが良いのでしょうか?」 という質問です。

低金利に加え、様々な優遇税制の絡み合いで、一昔前のように「余裕資金は繰り上げ返済に回すべし!」とは言いきれないケースが増えてきました。 そこで、余裕資金100万円を繰り上げ返済した場合と投信などで運用した場合の違いを、整理してみましょう。

繰り上げ返済も「資産運用」です!

まず、みなさんにご理解いただきたいのは、余裕資金を預金のままにしておくのも、住宅ローンの繰り上げ返済に回すのも、資産運用をしているということです。 資産運用とは、「自分のお金に働いてもらってお金をふやしてもらうこと」全体を指します。

ですから、余裕資金を繰り上げ返済に回して、将来の支払利息を確実に減らすという行為は立派な資産運用で、その他の運用方法と比較検討する余地があります。

減税の恩恵を加味した、資産運用比較

住宅ローンを組んで1年目のAさんが、手元にある余裕資金(当面生活費に充当しなくてよいお金)100万円を、運用した時の試算を表にまとめました。 前提だらけになりますが、まずはローン金利変動と資産運用のリターン変動を加味せずに考えてみます。

積立複利運用平均利回り


積立複利運用平均利回り

表1、表2をご確認ください。現在の低金利が続く間は、慌てて繰り上げ返済をするより、ローン金利と同程度以上の運用ができれば、 メリットがでるという試算結果になりました。 NISA枠を利用して運用する場合は、更に運用益手取りの増加を期待することができます (現在、NISAは期間限定の制度として導入されているため、比較表では加味していません)。

ただし、これは住宅ローンの残期間と同期間、運用が想定通りにでき続けた場合であることはご注意ください。

必要保障額から考える繰り上げ返済のデメリット

では、AさんというよりAさんの奥様にとって重要な、「Aさんが万が一の時」を考えてみますと、次のことが分かります。

  • 繰り上げ返済直後、Aさんが亡くなった場合
     ⇒ 団信で住宅ローンは完済。 奥様が相続する資金は100万円少ない
     
  • 預金又は運用商品に資金を投入していた場合
     ⇒ 団信で住宅ローンは完済。 奥様が相続する資金は100万円+運用益分多い

100万円の生命保険29年間分の保険料は、年齢にもよりますが、10〜20万円程度かかります。

このように、万が一の保障確保まで含めて比較すると、預金のままでも 「元本の安全+生命保険料節約」の効果が見込めるので、選択肢としては検討の余地があります。 また、資産運用を取り入れると、更にお得になる可能性があることが分かります。

FPからのアドバイスまとめ

以上を踏まえて、ライフプラン上お勧めしたい、繰上げ返済&資産運用のバランスをまとめます。

(1) 原則としては、完済したい年(65歳等)までは繰り上げ返済優先で、将来の金利負担を抑え込むと安心。

(2) それ以上の資金余力がある、団信を減らしたくないなど、資産運用を選択されるなら、冒険し過ぎず、 ローン金利+1〜2%程度の期待リターンが目指せる、リスク控えめのポートフォリオならよいのでは。

(3) 最近、住宅ローン控除適用期間中の繰上げはしない方が有利なケース多し。 またNISA活用などの条件を満たせば、積極運用は更にお得になるかも。


個別に判断がつきかねる場合は、当事務所にご相談くだされば、ライフプランに基づくお勧めポートフォリオをご紹介します。 また、資金の使途と運用期間、期待リターンの希望が大まかに決まっていれば、全国の楽天証券IFA(金融商品仲介業者)さんに相談すれば、 ピッタリの運用商品をご紹介してもらえるでしょう。

経済情勢が変われば、FPのアドバイスも変わります。繰り上げ返済よりお得な方法がないか、チェックした上で実行することをお勧めします。

 ゆりもとひろみ



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