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どうして新興国投資が話題なの?

2010年11月06日

ファイナンシャル・プランナー 渡邊英利

日本の公的年金が、最近、新興国にも投資を始めると発表しました。

2010.10.12 ロイター: 年金積立金管理運用独立行政法人が 新興国株投資を開始へ

新興国投資って、どんな国に投資するの? どんないいことがあるの? 危なくはないの?

私たちが将来受け取る年金の投資先に加えられたのですから、理由や仕組みは少しでも理解しておきたいですね。

マレーシアの発展を目の当たりにして

8年前、私がマレーシアに旅行した時のことです。首都クアラルンプールに立った私は、その光景にびっくりしました。

近代的な超高層ツインタワー、街を縫うように走る地下鉄やモノレール。忙しく歩くビジネスパーソン。建設ラッシュ。かたや一歩郊外にいくとアジアの活気づいた市場や舗装されていない道路、昔ながらの家々。日本に追いつこうとしている国の熱気をムンムンと感じた瞬間でした。

あれから8年、マレーシアの株価は2.5倍になっていました。

注目の新興国投資とは?

このようなことが今、これから経済発展をしていく新興国と呼ばれる国々で起こっています。最近はインド、タイ、インドネシアなどの株式市場では歴史的に高い水準となっています。

その背景としては、年金の運用や世界中の投資家が、先進国への投資から、より経済成長が見込める新興国への投資へとシフトしているということが挙げられます。

新興国といってもピンとこないあなたは、「ALWAYS 三丁目の夕日」で見たような、昭和30年代の高度経済成長期の日本を思い出してみてください。国の経済規模・生産力としては、それに近い状況といえます。東京オリンピック、大阪万博などの建設ラッシュ。国が活気づいてどんどん景気が良くなっていったあの頃です。

当時の日本の活気が、いま新興国のいたるところで湧きおこっているわけです。その国の人々は今の日本のような高齢化社会とは逆で、若い世代がものすごい勢いで勉強して、経済を動かして、先進国を追いつき追い越そうとしているわけです。

これらの国の国債や会社に投資をして成長すれば、その見返りに株価が上がったり、高い利息を得ることができるのです。これが、新興国投資の魅力となっています。

新興国に投資する際のリスクは?

新興国への投資はこのような魅力がいっぱいなのですが、安全で確実な投資では決してありません。不確定な要素がたくさんあります。それを運用の世界ではリスクと呼んでいます。

新興国の株価や為替は、市場規模が小さいので動きが大きいです。小さな池の中にクジラが1頭泳いでいるイメージです。もし何かの拍子でクジラが大暴れしたら、池の水(あなたの資産)が波打って溢れてしまいます。このクジラ、世界経済のちょっとした変化だったり、その国の政権が変わったりすることで暴れだします。

新興国は、高い経済成長が見込まれますが、同時にインフレ率も高いです。インフレというのは物価が上がることを言うのですが、物価が上がりすぎるのも良くないです。国の財政力を弱めて、投資した価値が目減りしてしまうことにつながるからです。

手軽に、安心して新興国に投資するには?

新興国に投資をするということは、その国の株式を買うことを思い浮かべるかもしれませんね。さらにとても面倒くさい手続きをしそうなイメージをもったかもしれません。

意外と、簡単なんです。

それは、お近くの金融機関で、そのような新興国に投資する投資信託を購入するだけなんです。窓口にふらっと立ち寄り、海外に投資ができるなんて、すごい世の中になったものです。

でも、ご注意ください。

いくら○○という国が有望だからといって、その投資信託に虎の子の財産を全部つぎ込んでしまうなんてこと、しませんよね?そう、いくつかの国に分散して投資をするのです。

あと、投資信託を通じてその国の株式に投資するものもあれば、国債に投資するものもあります。最近は、新興国の国債に投資して、毎月の分配金をお小遣い代わりに受け取るタイプのものも人気です。

海外に投資をすると、為替の影響を受けることになりますが、「為替ヘッジ」といって為替の影響を取り除く仕組みもあります。それらをうまく分散して、偏りのない投資をしていきましょう。

2010年11月01日発行 ゆりもとFP事務所メルマガ掲載コラム 再編集


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