【第25のワザ】 ペイオフよりも怖い、預貯金のピンチ!

ファイナンシャル・プランナー ゆりもとひろみ

ペイオフよりも身近に迫る、預貯金のピンチ

「ペイオフ」という仕組みをご存じでしょうか?
金融機関が破綻した場合、1,000万円とその利息までは預金保険で保護されますが、それ以上は保証されない制度です。2010年の日本振興銀行の破綻ではじめて発動され、大きな話題になりました。

ただ、住宅購入や教育資金準備などで一時的にまとまったお金を預ける場合を除き、常に1,000万円以上を口座に眠らせている方は少数派かもしれません。

それよりも今、はるかに多くの人にとって現実的なリスクは「詐欺や不正アクセスによる預貯金被害」です。

巧妙化する最新の詐欺手口

オレオレ詐欺から始まって、還付金詐欺や定額給付金詐欺まで、詐欺の手口は年々巧妙化しています。

  • マイナンバーや給付金を装った フィッシング詐欺
  • 偽サイトや偽アプリによる 不正送金
  • スマホ乗っ取りやQRコードを悪用した 新型詐欺

警察庁の発表によれば、2024年の特殊詐欺被害額は約450億円超に達し、被害者の中心は高齢者だけでなく、スマホを利用する現役世代にも広がっています。AIを悪用して本人の声を真似る「ボイス・ディープフェイク詐欺」も確認され、対策はいたちごっこの様相を呈しています。

法律上の扱いは「盗難」と「詐欺」で大違い

意外かもしれませんが、盗難詐欺では、被害者への保護の度合いが大きく異なります。

  • 盗難 …本人に過失がないとされ、税の控除や保険による救済が受けやすい
  • 詐欺 …「被害者にも注意不足があったのでは」とされ、金融機関の補償も限定的

システムの不備を突かれた被害でも、「詐欺」と分類されれば補償は期待できないケースが多いのです。

自分でできる防衛策

  • 生体認証(指紋や静脈認証)付きの金融機関を利用する
  • ATMで頻繁に使う口座には大きな金額を入れない
  • 振込・引き出し限度額を低めに設定しておく
  • 不審なSMSやメールのリンクは絶対に開かない

さらに、少しまとまったお金を持っている方は「保険」や「国債」といった仕組みを活用して、預金以外に安全に分散しておくことも有効です。

【第25のワザ】
保険を使って資産をまもる

保険で資産をまもる(1)… 一時払終身保険

100万〜数百万円程度の資金で、すぐには使う予定がないなら、一時払終身保険も選択肢のひとつです。
近年では、3年以上保有すれば解約返戻金が払込額を上回る商品があり、元本割れリスクを抑えつつ死亡保障も得られる仕組みになっています。

預金のように簡単に引き出せないため、不正解約のリスクが低い点も安心材料です。金利上昇局面では解約して預け替える柔軟性も確保できます。

保険で資産をまもる(2)… 住宅総合保険

火災保険の中でも「住宅総合保険」には、一定額までの盗難補償が含まれています。
実際に、通帳を悪用された定期預金の不正引き出しが「盗難」と認定され、補償を受けられたケースもあります。

住宅火災保険しか入っていない方は、ぜひ補償範囲を確認してみてください。
(※詐欺被害は補償対象外ですのでご注意を)

まとめ

2025年の今、資産を脅かす最大のリスクは「金融機関の破綻」よりも「詐欺や不正送金」です。
ペイオフを気にするだけでなく、日常的に使う預金口座の守り方を見直し、保険や国債など複数の手段で資産を分散して守ることが大切です。

大切なお金を守るには、制度や商品の特徴を正しく知り、賢く備えることから始めましょう。

このコラムを書いた人

圦本 弘美(ゆりもと ひろみ)/ FPのご紹介 - 株式会社FPフローリスト

ゆりもとFP事務所 代表
株式会社FPフローリスト 代表取締役社長

ゆりもと ひろみ

ファイナンシャル・プランニングで
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  • CFP®認定者
  • 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
  • 宅地建物取引士
  • 一種外務員