【第10のワザ】ライフプランから見た、マイホームの買い時っていつ?

ファイナンシャル・プランナー ゆりもとひろみ

賃貸にする?持ち家にする?

「家賃を払い続けるくらいなら、ローンを組んで家を買ったほうがいい」という説を耳にしたことがあるかもしれません。けれども、実際には多くのファイナンシャルプランナー(FP)がこの説に異議を唱えています。

理由は、「賃貸」と「住宅ローンを組んで不動産を取得すること」とでは、リスクの性質が大きく異なること、そしてローン返済以外の住宅コストが考慮されていないためです。

この点については、
第6のワザ「住宅取得とは、一世一代の買い物を“2つ”することと心得よ」
第9のワザ「住宅ローンは“返せる額”で組む」
でも触れましたね。

ただし、いくら慎重になれといっても、頭金を何十年もかけて貯めないと家を買えないのでは、気持ちが萎えてしまいます。
さらに、ご主人の年齢が上がるほどローン完済時期が遅れ、老後の生活に影響するリスクも出てきます。

  • 35歳で35年ローンを組めば完済は70歳
  • 45歳で組めば完済は80歳!

収入要件を満たせば組むこと自体は可能ですが、これでは安心できません。
慎重になりすぎて取得時期を逃すのもまたリスクになることが分かります。では、一世一代の買い物であるマイホームは、いつ買うのが良いのでしょうか。

ここで、第10のワザです。

【第10のワザ】
 トータルの住居費を押さえるタイミングを見極める

一生の住居費ってどのくらい?


皆さんは、一生のうち「住まい」のためにいくら支払うのか、考えたことがありますか?

例えば、

  • 22歳から35歳まで賃貸で月10万円の家賃を払い続ける
  • 35歳で4,000万円の一戸建てを30年ローンで購入する
  • 65歳でローンが完済し、その後は固定資産税などを払うのみ
  • 一生のうちに2回大規模リフォームを実施

この場合、生涯の住居費総額はおよそ1億円に達します。
このトータルコストを少しでも抑え、かつ定年までに大きな負担を終わらせるためには、「勝負をかける時期」を見極めることが大切です。

住宅取得の勝負時期は?


現在、住宅手当や社宅の恩恵を受け、相場賃料の半額ほどで住居費が済んでいる方は、できるだけ購入を遅らせ、貯蓄を増やす方が有利です。こうした環境にある方は、安全圏まで自己資金を貯めてから購入するのが得策です。

一方、自費で家賃を払い続けている多くのご家庭は、定年までにローンを返し終えるプランを立てる必要があります。自己資金は多いに越したことはありませんが、購入を5年遅らせれば完済も5年遅れます。

将来の教育費などを踏まえつつ、
「現在の住居費+住宅用に回せる年間貯蓄額」の範囲に「ローン+諸経費」が収まるなら、早めの取得も検討できます。

ご自身で判断する場合は、定年までに完済できる金額と頭金の範囲で設定すれば、一応安心と考えられます。ただし、見極めが難しいため、できればFPにライフプランを作ってもらうのがおすすめです。

住宅取得は人生の大きなイベントです。基本的には慎重に決断すべきですが、「今がその時だ!」という転機が訪れたときは、無理のない範囲で積極的に行動することも大切です。

本当に買うべきタイミングが来たときには、心が自然と定まり、親族など周囲からの応援も得られる流れができるものです。

納得のいくマイホーム取得ができるよう、心から応援しています。

このコラムを書いた人

圦本 弘美(ゆりもと ひろみ)/ FPのご紹介 - 株式会社FPフローリスト

ゆりもとFP事務所 代表
株式会社FPフローリスト 代表取締役社長

ゆりもと ひろみ

ファイナンシャル・プランニングで
日本を元気にします!

  • CFP®認定者
  • 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
  • 宅地建物取引士
  • 一種外務員