NISAを活用しよう
2013年09月09日
2016年10月19日 更新(限度額の引き上げ)
ファイナンシャル・プランナー 望月貴美香
少額投資非課税制度 <NISA:ニーサ>
最近、テレビCMでよく見かけるようになりましたが、どのような制度かご存知でしょうか?
解説の前に、ちょっと質問です。
Q.100万円で買った株を150万円で売却すると税金はいくらかかるでしょう? (手数料と復興特別所得税は考慮しません)
では、正解を発表します。
譲渡益(儲けた金額)は 150万円−100万円=50万円ですね。 ところが税額は「いつ売却したか」により変わります。
【2013年までの税額】 50万円×税率10%= 5万円
【2014年以降の税額】 50万円×税率20%=10万円
(特例の減税がなくなり元の税率に戻ります)
では、もう一問。
Q.毎年安定的に2万円の配当金をだしている株を保有していたとします。 2014年以降の税率で計算した場合、税金はいくらかかりますか?
正解を発表します。
2万円×20%=4千円
10年間保有しつづけ、その間も同じ金額の配当が支払われたとすると、
4千円×10年=4万円 の税金が徴収されることになります。
この税金、なくなったら嬉しいですよね?
はい、ではぜひNISAを利用してください。
NISAを利用するメリットはズバリ!「税金を払わなくていい」ということです。
わかりやすいよう、株式の例を挙げましたが、株式だけが非課税の対象ではありません。 株を保有していない人にもメリットのある制度ですので、ぜひ活用してみてくださいね。
それでは、具体的にどのような仕組みになっているのか、みていきましょう。
NISA(少額投資非課税制度)の仕組み
NISA口座を開設し利用するには、条件や制限があります。
<対象者>
NISAを利用する年の1月1日現在、満20歳以上の日本居住者
<対象商品>
・証券取引所に上場している株式
・ETF(上場投資信託)
・REIT(不動産投資信託)
・株式投資信託 等
<投資限度額>
年間120万円
年間100万円 ※2016年から限度額が20万円引き上げられました。
<非課税期間>
投資した年から5年目の12月末まで
<投資可能期間>
2014年〜2023年
5年という期限付きではありますが、NISA口座内で購入した商品から得られる配当金、
分配金、譲渡益(売却したときの値上がり益)は非課税となります。
実際に利用するときにはいくつか注意すべき点があります。
NISAを利用する際の注意点
※2016年から非課税枠が120万円に引き上げられました。
(1)非課税枠は復活しない
年間100万円までの非課税枠。これは1回使い切り。 2014年1月に購入した株式100万円を同年4月に150万円で売却したからといって、5月に再び100万円の株を買うことはできません。
(2)非課税期間終了後は選択肢が2つ
売却しないまま5年の非課税期間が終了を迎えた場合、2つの方法が準備されています。
1.課税口座(特定口座・一般口座)に移行する
移行後は非課税ではなく課税扱いとなります。このときに注意しなければならないのは、 移行時の時価が取得価格になる、という点です。
2014年に100万円で株式を購入し、売却しないまま非課税期間終了の2018年末を迎えたとします。 このとき50万円に値下がりしていた場合、購入時の100万円ではなく移行時の時価50万円が取得価格と なってしまうのです。
ここが重要なポイントです。
その後、株式が80万円に上昇したときに売却すると果たして課税されるのでしょうか? もともとは100万円で買っているのですから80万円で売却すると、損ですよね。 しかし計算上は
・80万円(売却価格)−50万円(取得価格)=30万円(譲渡益)
・来年以降の税率で計算 30万円×20%=6万円課税
実際には損であるにも拘わらず、課税されるのです。その点を十分理解したうえで、課税口座に移行するかどうか決めてください。
2.翌年の非課税枠に移行する
2014年に利用した非課税枠は2018年に終了しますが、2019年新たに「5年間は税金を取りませんよ」という非課税枠 100万円を使う権利がもらえますので、この新たな枠にそのまま移行させることができます。
こうすることで最大10年間の非課税期間を利用できます。
ただし、移行時の時価が100万円を超えていたときは要注意です。新たな非課税枠に移行できるのは100万円まで、という上限があるからです。 100万円を超えた部分は、1つめの方法で触れた課税口座(特定口座・一般口座)に移行するしかありません。
前述通り、時価が取得価格になりますので、要注意。一部売却が可能であれば、100万円を超えた分だけ非課税期間中に売却するのも一案です。
(3)損益通算できない
譲渡益と譲渡損失を通算して、課税対象額を小さくすることを損益通算といいますが、 NISA口座内で損失がでても、特定口座や一般口座内の譲渡益と損益通算ができません。 NISAは損を確定すると、なんのメリットもありません。利益がでて初めて利用価値があったといえるのです。
(4)一人1口座
次に掲げる期間につき1つの金融機関において1回のみ開設可能であり、同時に複数の金融機関で作ることはできません。 金融商品のラインナップや手数料体系などをみて決めてください。銀行でNISA口座を作ってから、 株に投資したかったのに、と言っても後の祭りです。
【1】 2014年〜2017年
【2】 2018年〜2021年
【3】 2022年〜2023年
具体的な利用法
非課税メリットを享受するためには、利益を可能な限り大きくすることがポイントです。
最大10年という非課税期間を活かし、高配当銘柄や大幅下落の可能性が小さく緩やかな成長が期待できる 株や投資信託を長期運用することで、利益を追求する方法。
あるいは、あえて変動幅の大きい株や投資信託を購入し、タイミングを見計らって売却することで、 利益の追求をする方法があります。
投資目的を明確にしたうえで、運用方針を決めましょう。
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