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一家の経済危機を乗り越える秘策 その1

2010年9月27日

ファイナンシャル・プランナー ゆりもとひろみ

自殺の原因の第2位は「経済・生活苦」

2010年5月13日、警察庁から「2009年度の自殺者数は3万2845人。12年連続で3万人を超えている」という、ショッキングな統計が発表されました。

3万人といわれて、想像がつくでしょうか? 人口36万人の大都市が、12年で空っぽになってしまったということです。平和なはずの日本で、大変な事態が続いています。

自殺の原因のトップは「健康問題」。2位が「経済・生活苦」だそうです。FPとしては、「経済・生活苦」の自殺者とその予備軍を何とか救いたいと願っています。

という訳で今回と次回は、間違っても破産や自殺などという窮地に陥らないための、必要な対策をお話しておきたいと思います。

お金は、人生をよりよく生きるためのエネルギーの1つです。上手に使えば、人生の夢の多くがかなう魔法の力を持っています。反面、使い方を失敗すると、人生に致命的なダメージを受けてしまうこともあります。でも、そんな時でも、あなたにとって、家族にとって、「1番大切なものは何か」を、決して見失わないでください。

以前、自殺遺児(お父さんを自殺でなくした子供)が書いた、胸を打つ文章を読んだことがあります。文章の中で少年は、「僕は、どんなに貧乏してもいい、苦労してもいいから、お父さんに生きていて欲しかった」と、訴えていました。

あなたが今、どんなにつらくても、みじめでも、生きているだけで、守ってあげられる大切なものがある、喜んでくれる人が必ずいる、そのことを信じてください。そして、もう一度、人生を立て直す方法はないか、考え直し、調べ直してみましょう。

日頃から家計の転覆を防ぐ手を考えておく

ここ数年、経済的に厳しい状況になっている方が増えています。大幅な収入ダウンで、住宅ローン返済や教育費捻出のメドがたたなくなり、緊急対応策を求めて相談に来る方も増えています。できれば、日頃から、家計の転覆を防ぐ手を考えておけば、こんなに大変な思いをされなくて済んだのに、というケースも見受けられます。

家計も、生活習慣病の治療と同じで、発病(破綻)してしまってから立て直すより、予防するほうが何十倍も低コストで済みます。ただ、予兆の段階で思い切った対策を取るのは難しく、それなりの覚悟が必要です。どうして難しいのか、覚悟が必要なのか、その理由に迫りたいと思います。

それでは、第17のワザ をお送りします。

【第17のワザ】 現実をありのままに見る勇気を持つ
現実を見られないパターン(1)・・・人任せ、運任せの考え方

「現実」というのはもちろん、「家計の現状」のことです。

ご家庭の毎月の収支・年間の収支がどうなっているのか洗い出す。また、教育費がこの先いくらかかるか、住宅ローンの金利が上がるとどうなるかといった、将来の収支を、冷静に把握することです。

ところが、家計が深刻なほど「見たくない」心理が働き、「そのうち何とかなるのでは」と放置している間に、傷口が広がってしまいます。家計の場合、現実を見られず、対策が取れない人には、大きく2通りあるように見受けられます。

パターン(1):「イザとなったら、親から援助してもらえるハズ」「イザとなったら、ローンで借りてしのげばいい」と、人任せ、運任せの考えがある方

親からの援助が期待できるかたでも、きっちり口座を作って、必要な時まで管理できるご家庭は立派です。でも、親の援助という「人のお財布」や、安易なローンという「未来のお財布」など、自分の実力を超えた収入を当てにしようという傾向が付いてしまっている方には、ある種の「だらしなさ」を感じます。「甘さ」といってもいいのでしょうか。

この「お金に対する甘い考え」を入れ替え、現実を受け止めて、できる限り改善して行こうと決意しない限り、経済的な危機は繰り返し襲ってくることになります。

たとえ窮状にあっても、勇気を持って、自分の責任で対応してゆこうとしている人は、「人間に本来備わっている前向きなエネルギー」が出てきて、精神面で「引き締まった美しさ」を感じます。こういう方は、私も心から応援したくなります。

甘え心を捨てて、生活のコスト計算をきっちりおこない、支出を収入の範囲に抑えていく。そして、千円でも五千円でもいいから黒字を出せるように持っていければ、歩みは小さくても、成功のほうに進む事ができるのです。

一方、現実を見られないもうひとつのパターンについては、次回で詳しくお話したいと思います。このパターンの方は、自力で家計のリストラができず、深刻な事態を招きやすいのです。

・・・キーワードは「恐怖心」です。

一家の経済危機を乗り越える秘策 その2 へ続く

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