地震保険って必要?
2011年06月30日
ファイナンシャル・プランナー 渡邊英利
今回は、大きな関心事となっている、地震保険について勉強したいと思います。
まずは、地震保険に関する次の3つのクイズに、○か×かでお答えください。
1.地震の影響で火災がおきても、火災保険から保険が下りる。
2.地震の補償を厚くしておきたいので、火災保険と同じ額の地震保険をかけた。
3.地震保険はインターネットの保険会社を選ぶと安くすむ。
いかがでしたか?
答えは・・・
3つとも「×」です! 3つとも、間違いなんです。
地震の保険の特徴は?
まず、通常の火災保険では、地震・噴火・津波を原因とする火災や建物の倒壊が生じても、補償されません。
地震保険が必要となるのは、地震で建物が倒れる心配がある人だけではないのですね。
じつは、地震を原因とする大きな災害の被害を補償するための大切な役割を担っています。
つぎに、地震保険をかける時は、火災保険加入時に決める保険金額の30〜50%の間で設定します。
加入する際の上限金額は、建物5000万円、家財1000万円までとなっています。
また、地震保険は単体では加入できないので、火災保険とセットで加入します。
そして、保険料についてです。
地震保険は、法律に基づいて政府と民間の損保会社が共同で運営している制度なので、同じ条件なら、
どこの保険会社で申し込んでも同じ保険料になります。
保険料は、地震が起こりやすいとされる地域区分により、異なるという仕組みとなっています。
このような地震保険ですが、ご相談に訪れるお客様の中からは、
「保険料って結構高いから、削ろうと思っているんです」
「全額補償されないなら、あまり意味が無いと思うんですけど」
という声をお聞きすることがあります。
ですが、日経新聞に掲載された、次の記事をご覧ください。
日本経済新聞の調べによると、1995年の阪神大震災では3年後も被災者の7人に1人が、 震災前から返済中のローンに加えて、新たな住宅ローンや修繕費用などで二重ローンを抱える経験をしている。
[日本経済新聞 2011年5月3日]
今回の東日本大震災でも、同様の状況になってしまった方も、たくさんいらっしゃいます。
本当に、いち早く元の生活に戻られることをお祈り申し上げます。
地震保険から受け取る保険金だけでは、家を建て直すことはできません。
ですが、仮設住宅や避難所生活から脱却して生活を建て直すための手元資金として、
とても大切なものになります。
保険というものは、万が一の時に、本当の効果を発揮します。
保険をかけて、万が一のことが起きなければ、保険料を支払っただけで、戻ってくるものは無い、
ということになります。
でも、それでいいのです。万が一のことが起こらなければ。
保険という商品は、健康のために良い食事を摂ったり、定期的に健康診断を受けたりするのと同じように、
「平穏無事に過ごすためのコスト」と考え、万が一が起こってしまったら、
経済的なダメージが大きい事柄に対しては、かけておくべきでしょう。
2011年06月27日発行 ゆりもとFP事務所メルマガ掲載コラム 再編集