年金問題に対してできること
2010年9月27日
ファイナンシャル・プランナー ゆりもとひろみ
今回は、私たちが自分の年金についてどう考え、どうアクションを起こすべきかを考えてみたいと思います。
年金問題の原因は?
現在、公的年金制度で一番問題になっているのは、「入ってくる保険料より、支払う年金の方が圧倒的多いので、このままでは破綻してしまう」ということです。
これは誰かのせいではなく、暮らしがよくなり、寿命が延びたことの反作用のひとつということですね(そこに子供の数が減っているということが追い討ちをかけていますが)。
年金財政がどれくらい苦しくなっているかを、イメージでつかんでいただきましょう。
ここでクイズを1問。
Q.今から約50年前の1960年には、日本人の平均寿命は何歳だったと思いますか?
答えは、男性約65歳 ・ 女性約70歳 です。
ということは、男性は60歳まで約40年間働いて(年金保険料を納めて)、年金生活に入ると5年で亡くなっていたというのが平均的な年数でした。
それでは、現在の平均寿命は?
答えは、男性約80歳 女性約86歳(H21年度)となっています。
ということは、男性の場合、65歳まで働くとしても、平均15年は年金を受け取るということです。
必要な資金を自力で作り出そう
50年前と現在を比べて見ますと、
● 1960年 働く期間40年に対し、年金受取期間 5年
● 2009年 働く期間45年に対し、年金受取期間15年
50年前は収入の9分の1くらいを収入から準備していけば、大体まかなえたという計算になるのですが、現在では収入の4分の1を老後や年金として準備しないと、お金が足りないということになります(物価上昇や運用を考慮しない場合)。
さらに平均寿命はどんどん延び続けています。年金保険料は高くなりつつあり、不満もあるでしょうが、収入の4分の1も払っていませんよね。ということは、公的年金は、構造的にお金が全く足りていないという状態なのです。
私たちが「保険料アップもいや、増税もいや、でも年金は今までどおり払い続けなさい」と要求することは、収入(保険料)以上の支出(年金支給)を、国にさせ続けるということになり、対策をとらなければ、どこかで国自体が倒産してしまいます。
国が倒産したら、私たちも子供たちも、今よりもっと困ってしまいます。老後に必要な資金を、全て公的年金で何とかしてもらおうとするのは、どう見ても無理がありそうです。
老後の安心を求めるのであれば、自分の必要な資金は自分で作り出す心積もりが、必要な時代になってきたのではないかと思います。
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