家計診断シリーズ<5>
老朽化が進んだわが家。定年後に建て直したいと思うのですが…
2009.1.30
Q. 老朽化が進んだわが家を定年後に建て直したい、と思うのですが可能でしょうか?
Nさん(50歳 会社員) / 妻(44歳 専業主婦)/ 子ども2人(14歳・10歳)
夫談: 親から譲り受けたこの家も、もう築30数年。60歳の定年退職を機に建て替えられたらな、と思っています。たわむ床やはげた塗装に、なんとなく愛着もあったりするんだけど…ね。
妻談: 古いながらも楽しいわが家。傷んだところを直しながら、住み続ければいいとおもっていましたが、最近老後の暮らしも心配になってきて……。でも建て直す計画なんて、夢のまた夢かしら?
A.第2の人生は快適な住環境で、ゆとりある生活を送りたいもの。老後のことを考えて、お家の建て替えやリフォームをお考えの方も多いはずですが、いずれは年金の受給に頼らなければいけない生活を考えると、今から経済的な見通しを立てておくことが大切です。
N家の家計簿
まずは、受給年金の計算をして、定年後の生活の見通しを立てましょう。
《1》 厚生年金
2003年4月に計算方法が変わりました。変更前(A)は、ボーナスは含まれませんでしたが、変更後(B)では、ボーナスを含んだ計算となります。下のA、Bのように、2003年までと2004年以降に分けて計算しましょう。
A 平均の税込月収×8.5%×2003年までの厚生年金加入年数
B 平均の税込年収の12分の1×6.5%×2004年以降の厚生年金加入予定年数
※8.5%と6.5%は、「報酬比例部分の乗率×12カ月×物価スライド」という方法で算出しています。
《2》 国民年金
C 2万円 × 年金加入年数 (40年加入していれば、満額80万円)
※2万円は、「80万円×加入年数÷40年=2万円」という方法で算出しています。
⇒ A+B+Cが、65歳から受給できる年金額の目安となります。
《1》 N家の厚生年金
まず、計算式にあてはめてみましょう。
A 30万円 × 8.5% × 22年 = 約56万円
B 60万円(←年収720万円の12分の1) × 6.5% × 16年 = 約62万円
《2》 N家の国民年金
C 2万円 × 40 = 80万円
すると、受給年金の合計額は・・・
◆ 夫65〜69歳
厚生年金(A+B)約118万円 +国民年金(C)80万円 + 加給年金 40万円
=約238万円(月19.8万円)
◆ 夫70歳以降
厚生年金(A+B)約118万円 +国民年金(C)80万円 +妻の国民年金80万円
=約278万円(月23万円)
※ 「加給年金」……妻が年金を受け取る年齢になるまで支給されるもの
※ ほかに、Nさんのご年齢だと63歳〜64歳の2年間は厚生年金100万円が受給できます。
公的年金で老後の最低限の生活費はなんとか賄えそうですが、
住宅ローンを払う余裕まではありません。そこで――
作戦1 : 定年時までに住宅建替資金を貯金する。
夫婦お二人のための新築なら、2,000万円を目安に用意しましょう。
◆ 年間貯蓄目標額の計算例
2,000万円 ― (教育費を除いた現在の貯蓄800万円) ― (退職金700万円) = 500万円
500万円 ÷ 10年 = 50万円 ←新居のための年間貯蓄目標
※これから、お子さまの教育費もかさんできますが、老後の経済的安心を準備するためには、年間50万円の住宅用貯蓄をつづけましょう。
作戦2 : 夫の定年後60歳から64歳までは、再就職で月25万円の収入を確保する。
再就職でこの期間の生活費を賄いましょう。ご主人さまの勤労だけで難しければ、奥さまが収入を補う必要が出るかもしれません。
文明や医療の発達のおかげで、いまや日本人の平均寿命は、男性80歳、女性86歳。60歳前後で第一線を退いたあとも、20〜40年もの、まさに「第二の人生」と呼べる大きな時間を手にするようになりました。
これだけの時間を夫婦で快適に過ごしていくには、老後資金の確保が重要です。でも、私のもとに相談に訪れる多くの40代の方は、まだまだ目先の経済のほうがずっと心配な様子。老後のことは漠然と不安に感じながらも「まだ早いかな」と真剣に考えることを先延ばしにしているようです。
気持ちはわかりますが、60歳を過ぎたとたん突然老人になって老後の生活が始まるわけではありません。「現在」の積み重ねが、将来を形づくっていきますから、いまキビシイ収支に青色吐息なら、なおさらしっかりと将来を見通して、着実な手を打つべきでしょう。充実した老後を楽しむには、現役時代に、経済的基盤・人生経験・人々とのつながりを誠実に蓄積していくことです。
まずは、老後の資金情報にアンテナを張ってみましょう。「わが家の場合、公的年金はいくらもらえるのか」「年金で老後の生活費がカバーできるのか」「足りない分はいくらで、どう準備すればよいのか」。
これらを一つひとつはっきりさせていくなかで、リタイアまでに準備すべきことが見えてきます。
また平均寿命と夫婦の年齢差を考えれば、女性は平均12年間、人生の最終段階をひとりで過ごすことになります。この期間をどんなふうに過ごすのかをイメージしたうえで、「老後のための伏線づくり」をしておくことも大切ですね。
経済的な備えはもちろんのこと、元気に過ごすための健康管理や、長く楽しめる趣味を持つこともおすすめです。私の知人の40代の女性は、子孫に囲まれてにぎやかに過ごしたいと「がんばってもうひとり子どもをつくります!」と宣言していましたよ。
どうかときどき、夫婦で時間をとって数十年後の家族が輝けるために必要なことを話し合ってみてください。なんとなく抱えていた不安が解消されるだけでなく、きっと、かけがえのない「家族」の大切さを、あらためて感じることができると思いますよ。
ゆりもとひろみ
雑誌『アー・ユー・ハッピー?』2004年12月号掲載分 2009.1.30 再編集
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