毎月分配型投信・・・分配金の見分け方について教えて!
2011.11.11
Q. 分配金が毎月出る投資信託に興味があります。分配金の見分け方について教えてください。
毎月分配型の投資信託を比較する際、つい分配金の多いファンドに目を奪われがちですが、分配金を出すには、 当然それを可能にするだけの収益が必要です。もし収益以上の分配金を出していれば、 お金が増えているように見えて、実は全体では減っているということにもなりかねません。
そこで、こんな方法で、投資信託の分配金が出しすぎかどうかをチェックみてはいかがでしょうか?
毎月分配型の投資信託のおよそ9割は、債権に投資するタイプのファンドです。その運用レポートには、 投資している債権の平均利回りが記載されています。一方、毎月の分配金を年換算し、その時の基準価額で割れば、分配金利回りがでてきます。
投資する債権の平均利回りが、この分配金利回り以上であれば、運用収益の範囲内の分配金、それ以下であれば、 ちょっと無理をしているかもしれない、と考えることができると思います。信託報酬や為替の影響などもありますので、 あくまで目安の考え方ですが、このファンドは「いくらもらえる?」ではなく「いくら出せる?」の視点でチェックしてみてください。
分配金のチェックポイント
投資する債権の平均利回り > 分配金利回り | ⇒ | 運用収益の範囲内の分配金 |
---|---|---|
投資する債権の平均利回り < 分配金利回り | ⇒ | 運用収益以上の分配金 |
【計算】 分配金利回り = (毎月の分配金×12カ月÷基準価額) × 100 |
仮に1,000万円を毎月分配型の投資信託に投資して、1,000万口を保有したとしましょう。
1万口あたり40円の分配金が支払われれば、毎月の受取額は4万円。年間で48万円になります。 基準価額を1万円とみたてて金利換算すれば、年4.8%の計算です(分配金は利息ではないので、 あくまで計算上の話です)。大口の定期預金に10年預けても、年1%を超える金利がつかないなか、 これだけの運用成果は確かに魅力的です。
でも毎月分配型の投資信託も、万能というわけではありません。 その期の運用成績を超えて分配金を出し続ければ、投資信託の資産規模も小さくなり、結果、基準価額も下がってしまいます。
分配金の解説で「タコ足配当」なる言葉をよく耳にします。これは、タコが自分の足を食べて、空腹を満たすイメージからきた言葉です。 本当は、配当をだせる状態ではないのに、積立金を取り崩すなどして好業績を装い配当を支払う企業行為を指した言葉ですが、 投資信託の分配金に対しても同じ危険性を指摘できるでしょう。
基準価額は分配金の支払い以外にも、保有する株式や債券の個別動向、為替変動など、さまざまな要因の影響を受けますので、 基準価額が下がっているから、すぐ「タコ足だ」と考えるのは早計です。でも、継続して基準価額が下落しているようでしたら、 運用成果に見合った範囲で、分配金が支払われているのか、しっかり確認しておくべきでしょう。
さらに、もうひとつ。分配金を投資家に還元せずに、そのまま再投資に回す投資信託があることは、 先に触れましたが、そのほうが運用効率は高くなります。
このため、当面使う予定のないお金で、時間を見方につけてじっくり資産を増やしたい人は、 分配金を再投資するタイプのほうが適していると言われています。 逆に、シニアライフを迎えて、資産を増やしつつ、同時にその運用成果を使うことも視野に入れたいのであれば、 毎月分配型のほうが適していると言えるでしょう。
でも最近はこの限りではなく、30代、40代の比較的若い人の間でも、毎月分配型の人気が広まっているようです。 リーマン・ショックに代表されるように、金融市場が不安定になり、将来の運用成果を見込みにくい環境が続くなか、 「運用成果を自動的に現金化できる」、そんな分配金のしくみに魅力を感じる人が増えているためです。
販売手数料などを考慮する必要がありますが、基準価額が割安になったときに、 分配金を元手に投資信託を追加購入して、運用効率を高める手もあります。
いずれにせよ、分配金額、基準価額の動き、運用の効率性など、さまざまな面をチェックして、上手な使い方を考えたいものです。
日本金融通信社 『ニッキン・マネー』 2011年8月号掲載分 2011.11.11再編集
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