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身内が亡くなった時に必要な手続きは?

2007.10.15

身内が亡くなった時に必要な手続きは?

花 Q. 数ヶ月前、夫が亡くなったのですが、悲しみに暮れる暇もなく、いろいろな手続きに忙殺されてしまいました。特に葬儀などすぐに必要な現金を引き出そうとしたら、凍結されていて引き出せないのには困りました。いざというときに困らない最低限の知識を教えてください。
(50代 主婦)


A. いざというときには、気も動転していますし、やるべきことが次から次に出てきますから、なかなか思うようにいきませんよね。まずは、同じような体験をした方々の声を聞いてみました。

体 験 談

相続の準備が大切

私の父が亡くなった時に経験した範囲では、まずは、相続税の対象になる額に達しているのか、いないのか、生前の財産総額がしっかりと身内に把握できているのかがポイントですね。死亡時の生命保険金なんかも対象ですよ。そうそう負の財産もありますから、多額の債務がある場合は要注意。借金が大きすぎる場合は、相続放棄なんてのもありますね。遺産相続人の範囲なんかもしっかりと確認しておく必要がありますね。遺産相続上の相続税の基礎控除額があり、相続人の数でも変わってくるはずです。 (Kさん)


カードで引き出せました

銀行に申告した瞬間、預金凍結されちゃうけど、その前なら本人名義のカードで引き出せますよ。暗証番号を家族が知らないと使えませんが……。親が危篤状態の時に全額おろしに行く人もいるらしいですね。 (Sさん)


うれしいビックリも

健康保険から葬儀費用の補助が出てビックリ。そんな制度は知りませんでした。 (Iさん)


遺影がなくて困った

遺影がなくて困りました。今は技術が発達しているので、いろいろ加工してくれてスナップ写真や小さな写真でも結構いけますが、本家のおじさんが亡くなった時は、いくら探しても写真自体がないの! 見つかったのは、20年以上も前に撮った髪の毛黒々フサフサの50代の時の写真。仕方なくそのまま遺影にさせてもらいました。まあ、お若い方が亡くなったのね、と思われちゃいましたが、実際には75歳でした。 (Oさん)


使いまわせるお金がないと・・・

葬儀社からの請求書には「1週間以内にお振込みください」と注意書きがあったので、使いまわしできるお金が手元にないと、あせってしまうと思います。 (Tさん)


お葬式のことは具体的に

病院で死亡すると、すぐに葬儀社数社から連絡が入って、即決しなければならないことがたくさんあります。葬儀のことは粛々と葬儀社の人がすすめてくれますが、居住地によっては隣組が取り仕切ったりするところもあるので、実際に亡くなったらどこでお葬式をするかなど、あらかじめ具体的に決めておくことが大切だと思います。 (Eさん)


あまり手元に置くと・・・

預金の場合は、死亡申告した瞬間に凍結されるので、その前に、葬儀代などあらかじめ必要な経費は現金化し手元に置く必要はあります。それでも税務署に申告する際は、必要経費のみが控除の対象(債務および葬式費用の明細書)になるので、それ以上の額が手元にあれば、財産の分与分と見なされると思います。(Hさん)

手 続 き に つ い て

銀行預金・郵便貯金について

通帳 金融機関が故人の死亡を知った瞬間、故人名義の預貯金は凍結されます。凍結されると、入出金、送金、自動引き落とし全てできなくなります。

凍結された預貯金を引き出すには、除籍謄本、相続人全員の印鑑、遺産分割協議書などの提出が必要です。つまり遺産相続について正式に決まってからということになりますから、通常死後数ヶ月はかかることになります。

葬儀費用は当面の生活費として、どうしても至急、故人名義の預貯金を引き出したい場合には、金融機関に申し出ると、通常150万円を限度に引き出せます。

預金を引き出す手続きに必要なもの

【銀行預金】
故人の除籍謄本、戸籍謄本(法定相続人全員分)、印鑑証明書(法定相続人全員分)、故人の実印、故人の預金通帳や届出印、手続きする人の身分証明書など

【郵便貯金】
故人の除籍謄本、法定相続人の同意書(郵便局備付の用紙に全員が署名、捺印)、故人の貯金通帳や届出印など

勤務先での手続き

届出するもの:死亡届など必要書類の提出

返却するもの:健康保険証、社員証、バッチ、会社の鍵や資料など

手続きするもの:死亡退職金、最終給与、財形・社内預金、企業年金、健康保険の葬祭費・埋葬料、労災保険などは確認して必要な手続きをとります。

厚生年金や共済年金の加入者・受給者は、遺族が遺族厚生(共済)年金を受け取れます。
 ⇒ 問い合わせ先:勤務先の担当部署や社会保険事務所

市町村役所での手続き

国民健康保険
国民健康保険加入者は、葬祭費の支給を受けることができます。
必要なもの:保険証、印鑑、振込口座番号、葬儀の領収書など
支給額:市町村によって違います(2万〜5万円程度)。
申請期限:死亡後2年

国民年金 国民年金1号保険者(自営業者など)が死亡した場合は、条件により、遺族基礎年金、寡婦年金、死亡一時金のいずれかが支給されます。

国民年金受給中の方が死亡した場合は、未受給年金が残っていることがあるので手続きが必要です。

税務署での手続き

所得税確定申告 故人の1月1日から死亡日までの所得税の確定申告は、故人の現住所所在の税務署に、原則4ヶ月以内に行う必要があります。前年度分の確定申告がまだの場合、同じく4ヶ月以内に行います。

確定申告の際、故人の年間の医療費が10万円を超えていた場合には、医療費控除が適用されるので、申告することで控除できます(死亡後の支払い分は、相続税申告時に控除できます)。

公共料金の名義変更

遺産分割にかかわらず、名義変更できるものは早めに手続きしましょう。

電気・ガス・水道:支払い通知書の連絡先に電話で申し出る。

電話:NTT窓口で「加入承継、改称届書」にて申し込む。死亡診断書、戸籍謄本、印鑑などが必要。

死亡保険金の手続き

加入している保険会社に問い合わせます。必要書類は、保険証券、死亡診断書、本人の戸籍謄本(抄本)、請求者全員の印鑑証明書、請求者の戸籍謄本(抄本)、保険金請求書などです。

あらかじめ、家族で話し合っておくことが大切

愛する身内が亡くなったとき、悲しみにくれる暇もなく手続きに忙殺されて疲れきった、という話をよく聞くことがあります。なかでも、世帯主が亡くなった時に預金を引き出せなくて困った経験のある人は少なくないようです。今回は、イザというときにあわてないために、どのような手続きが必要なのかをまとめましたので、ご参考にしていただければと思います。

この他にも、どこに連絡をする必要があるのか、誰に相談すればよいかなどを、ご夫婦・ご家族で話し合っておくとよいですね。資産に相続税のかかる可能性がある場合は、事前に調べて(税理士などの専門家に相談するなど)、対策を立てておいたほうが安心です。 ※資産が5000万円+法定相続人×1000万円以上ある方は、原則、相続税が発生することになります。

最近では、夫婦各自がインターネット上で口座を開いたり、買い物をしていて、本人以外は分からない契約をいくつもしているというケースがあります。どういうものに加入しているか、万が一の場合、家族がどこへ問い合わせればよいか、時折確認しあうことをお勧めします。

話し合う また、お金のことではありませんが、遺影に使える写真が見つからず、遺族が非常に困るケースも多いそうです。 あるカメラマンに聞いた話では、親族の結婚式がある際に、親族全員の顔写真をさりげなく撮っておくと、正装をしていますし、後で重宝することがあるそうです。

まだまだあり得ないと思っていたとしても、いつ何があっても、遺族が困らないような最低限の備えはしておきたいものです。イザというときの準備をすることで、自分(や家族)が執着しているものや、マネー面の弱点(平常時からの備えが必要な部分)を整理することにもなるかと思います。

ゆりもとひろみ

雑誌『アー・ユー・ハッピー?』2006年11月号掲載分 2007.10.15 再編集


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