教育費の準備、どうすればいい?
2008.02.20
Q. 2人の子どもがいます。今後、教育費にどのくらいかかるでしょうか。
高校まではなるべく公立に行かせたいのですが、大学は私立でもいいかな、と思っています。今から毎月いくら貯めていけばよいでしょうか。
また、おすすめの貯蓄方法があれば、教えてください。
30代専業主婦 Nさん 《家族構成》夫30代、年収600万円(額面)・長男(7歳)・長女(2歳)
A.大学用資金として、ひとり200万〜300万円用意しましょう。まずは、表1と表2をごらんください。
1.教育費はいくら?
塾やお稽古代も含めて、中学・高校で私立に行かせるなら年間100万円超、公立でも年間約50万円の教育費がかかるのが現状です。
このうち塾代や毎年の授業料は生活費から捻出できたとしても、大学進学前後にかかる費用(受験料、入学金、初年度授業料など)は、事前に準備しておかないと厳しくなります。さらに、下宿をお考えなら、引越しで50万円、仕送りが年間120万円というのが平均データです。また、残念ながら浪人ということになれば、さらに予備校費用も必要になります。
ですから、大学用資金として、国立進学で200万円、私立進学になる可能性があるなら300万円は、用意したいところです。
2.毎月の積み立て額は?
では、200万円、300万円を準備するために、月々いくら積み立てればよいのかということですが、表3、表4をごらんください。
大学進学費用は高校3年の秋までには用意したいので、「17年−お子さまの年齢」が積立期間となります。Nさんの場合、上のお子さまは10年間、下のお子さまは15年の期間がありますので、300万円ずつ貯めるには、それぞれ月額2万5000円、1万6667万円、合計4万1667円の積立が必要になります。
ただしこれは運用をまったく考えない場合、つまり利息ゼロの場合です。これをもし年率3%で運用できれば、月額計3万4599円の積み立てで間に合う計算になります。
教育費は、ここ20年の平均で、年3%程度の値上がりを続けています(総務省:消費者物価指数より)ので、できれば年2〜3%以上の運用を目指したいところですね。
3.教育費を貯めて増やす方法は?
学資保険
◆メリット…… 保険料として毎月強制的に貯められる。扶養者に万が一のことがあっても資金を準備できる。
◆デメリット… 途中で市場の金利が上がっても、加入時の予定利率のまま。保障部分の費用がかかり、ほとんど増えないことも。
昔は学資準備の定番だった学資保険ですが、現在は予定利率が低く利回りが期待できないことが多いので、新規に加入するなら、払込合計より満期金が多いかチェックしてみてください。
個人向け国債(5年固定金利型、10年変動金利型)
◆メリット…… 一定の期間預け入れすれば、元本保証で預金より利回りがよい。10年変動型は、市場金利が上昇すれば、利息も増える仕組み。
◆デメリット… 期間途中で換金すると、利息が大幅に削減される。
最新の金利を調べるなら: 財務省 個人向け国債
投資信託(ファンド)
◆メリット…… 投資対象によっては高い利回りが見込める(日本や世界の株式を中心に運用するものには、年7〜10%くらいの運用実績があるものも多い)。
◆デメリット… 元本保証ではない。
教育費用なら、安定的に運用できているファンド(日本株の投資信託なら、インデックス型や規模が大きく優良な複数の会社に投資するファンドなど)を毎月一定金額(1万円単位)買い増ししていくのがおすすめ。5〜10年以上運用できる資金で始めましょう。
お子さまの教育資金は、住宅資金・老後資金とともに「人生の3大資金」のひとつです。3つのなかでは、教育資金が最も時期と金額が明確ですので、早いうちから計画的に準備を進めたいところです。
お子さまをひとり、大学まで出すためには、22年間で1500万円程度の教育費がかかるといわれています。ただし、全額を貯めないといけないわけではなく、公立進学であれば、高校までの教育費や授業料は、ふだんの家計からなんとかまかなえる金額です(平均で1年あたり約50万円)。
生活費からの捻出が厳しくなるのが、大学進学時の費用(受験料、入学金、初年度授業料、交通費その他)です。 事前に平均額の約200万円〜300万円を準備できれば、教育ローンなどのお世話にならずに乗り切ることができそうです。
この大学資金は、一般的にお子さまが高校3年生になるまでに準備するのが目安ですが、高校から私学を考えているのなら、15歳までには準備を終えていたいところです。
中学受験する場合は、塾代年間100万円も
また、中学受験を考えている場合、小学校5年生あたりから塾代で年間100万円程度の支出が始まることを覚悟する必要があります。現在の教育費にプラスして大学用の積み立てが可能か? またお子さまが2人、3人いれば2倍、3倍になることも計算しないで中学受験してしまうと、「上の子だけ私立で下は公立」というわけにもいかず、あとあと苦しくなるおそれがあります。
ただし、「塾に行く必要のない私立中学に入れれば、公立と塾のダブルスクールをするよりは、経済的にも時間的にもメリットが大きい」という親御さんもいらっしゃいますので、お子さまが小さくても遠い先のことだと思わずに、積極的に情報収集に励んでおくとよいですね。特にまとまった資金の準備は、急には難しいので、「公立か私立か迷うなら、私立だと思って貯金しておく」のが賢明です。
教育費にメドをつけて、老後資金準備もお早めに
また、これから出産予定のご家庭は、「18年後の確定支出」に備えて資金準備を始める、予習型家計を目指していただきたいものです。特にご夫婦の年齢が高い場合は、現在の収入が高いので気がゆるみがちですが、お子さまが大学進学する頃には、ご主人が定年を迎えて、収入が半減しているケースもあります。こういう場合も、教育資金準備のメドを早くつけないと、老後資金準備に差し支えるおそれがありますので、計画性がいっそう求められます。
10年以上の運用期間がとれれば、投資信託などの積立購入で「貯めながら増やす」ことも成功しやすくなります。望めば誰でも高い教育を受けられるありがたい時代なのですから、お子さまへの一番のプレゼントである教育費は、親も勉強しながら、賢く貯めていきたいものですね。
ゆりもとひろみ
雑誌『アー・ユー・ハッピー?』2007年6月号掲載分 2008.02.20 再編集
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