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[ 豊かにいこう! 女性が自立するためのお金と相続シリーズ ]
第2回 ライフプランから考える、老後資金のつくり方

2016.03.20

先日うちのFP事務所に、18歳の女子学生が資産運用相談に来られました。 「学生から株式の売買を始めた方の話を雑誌で読み興味を持ちました。 結婚せずに仕事で頑張って行くことを考えているので、私も今から何をすればよいか教えてください」という意欲的な相談でした。 彼女にFPとしてお伝えしたことは3つあります。

「投機」と「投資」の違いと使い分け

投機とは比較的短期の売買を繰り返し、価格の変動のサヤを抜いて利益を上げる方法です。大きく儲ける人がいる反面、 損をしている人も多いゼロサム型であり、勝ち続けられるか否かは個人の才覚に頼ることになります。

一方、投資は対象の価値の上昇を期待して中長期で利益を得ていく方法です。過去の実績から将来的に成長が期待できる対象に、 のんびり長い期間で投資をしていきますので、地味ですがやった人全員が勝てる可能性があります。

したがって、将来必ず用意したい老後資金などは、投資で確実に形成する目途をつけたうえで、 自分の才覚を試すための投機は余裕資金でチャレンジしてみるというバランスが、ビギナーさんにはお勧めです、とお話しました。

将来必要な資金の簡易計算法

では、女性が一人で生きていくために、リタイヤ目安の65歳までにいくらの資産を準備できればひと安心なのでしょうか?

65歳から受け取れる公的年金額は、大卒でずっと会社員を続けた女性であれば月額15万円〜20万円が一般的です。 例えば公的年金受給額が月15万円、一方の生活費や住居費などの支出が月25万円とすると、年間の貯蓄取り崩し額は以下となります。

(25万円−15万円)×12ヶ月=年間120万円

次に、必要な期間を考えます。女性の平均寿命が86.83歳(厚生労働省2015年発表「簡易生命表」より)ですので、65〜90歳の25年分としますと、

120万円×25年=3,000万円

を65歳までに準備できれば安心ということになります。 収入、退職金見込額、生活の希望、持家の有無などで必要金額は大きく変わります。 正確な金額を出すためにはライフプラン作成がお勧めですが、このような簡易計算で必要資金額の見当を付けることができます。

積立投資のパワー

では、この3,000万円という金額を、どう準備していけばよいのでしょうか?

もし22歳〜65歳まで、毎月金利ゼロで積立をして3,000万円を準備しようとすると、なんと月々5.8万円を43年間貯金し続けなければいけません。 新社会人の給与水準を考えると、かなり厳しい貯蓄目標額になります。

一方、平均5%の利回りが期待できる商品に積立投資を続けた場合は、月々約2万円でよいという計算になります。 毎月2万円の積立なら、充分現実的ですよね。 どれくらいの期間や利回りがあれば、いくらの資産形成が現実的になるのかは、下記の表を目安にしてください。

積立複利運用平均利回り

平均で年利5%の運用益が期待できる投資商品は、実際に存在しますが、「リスク」と言って、価格のブレ幅が投資対象ごとに異なり、元本保証ではありません。 そのようなリスク性の金融商品に投資するときは、「長期」で「いろいろな投資対象に分散」すると成功率が上がる、という過去の研究結果があります。 積立投資の元では「自己資金」と「時間」です。早く始めれば始めるほど、有利になります。 初めて聞く話に驚きの連続だった彼女ですが、「月1,000円〜でも積立ができるなら、親と相談してお小遣いから早速始めることも検討したいと思います!」 と喜んでいました。


事務所のFPメンバーでは、「うらやましいわ。私も18歳から積立投資のことを知っておけば今頃は…」という話で盛り上がりました。 けれど、誰しも思い立った時がはじめ時です。2016年からは未成年NISA口座が始まり、お子様への投資教育のよいきっかけとして活用できそうです。 あなたやお子様の未来のために、今日から積立投資を始めてみませんか?

 ゆりもとひろみ



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