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株の確定申告をすると国民健康保険料が上がる!?

2023年12月09日

ファイナンシャル・プランナー 関山郁子

今回は、株の確定申告と国民健康保険料についてお送りします。

確定申告不要の証券口座

証券口座には4種類の口座があるのをご存じですか?

 ・ 一般口座
 ・ 源泉徴収なしの特定口座
 ・ 源泉徴収ありの特定口座
 ・ NISA口座

このうち「一般口座」と「源泉徴収なしの特定口座」は確定申告が必要になります。

NISA口座は非課税です。また、「源泉徴収ありの特定口座」は、口座内で、損失と利益が計算されて(損益通算)、自動的に税金が引かれます(源泉徴収)。 複数口座保有の場合などは、税金の納め過ぎになってしまうこともありますが、手間のかかる確定申告が不要になります。

運用初心者の方は、まず非課税のNISA口座を利用し、NISA口座の非課税限度枠を超える場合には「源泉徴収ありの特定口座」を利用するのが一般的です。


複数口座:確定申告で損益通算

知人のBさん(男性)が「今年は株取引で利益がかなり出た!」 と喜んでいました。

Bさんは、複数の証券会社の「源泉徴収ありの特定口座」で株取引をしていました。 本来は確定申告不要なんですが、利益が出た口座と損をしている口座があったので、 確定申告をすると源泉徴収された税金の一部が戻ってくるだろう、とのことでした。

でも、でも、ちょっと待って!

Bさんは、国民健康保険に加入されています。税金だけでなく国民健康保険料がどのくらい上がるのかも 考慮しないといけませんね。


国民健康保険料が高くなる?

会社で入る社会保険の保険料は、通勤交通費や残業代などを含んだ個人の給与(報酬)で決まりますが、 国民健康保険料は、世帯の総所得や人数などで決まります。 Bさんの場合、確定申告をして総所得金額が増えた場合、国民健康保険料も高くなってしまいます。 確定申告する前に、高くなった保険料と戻ってくる税金を比較検討したほうがよいでしょう。

他にも、住宅ローン減税の適用が除外されたり(合計所得金額が3000万円を超える場合適用外)、 年齢によっては、医療費の自己負担割合や自己負担額の上限が上がったりする場合もありますので、注意が必要です。

つまり、「源泉徴収ありの特定口座」で出た利益は、確定申告をしなければ、国民健康保険料や上記のような控除の基準となる所得に、 合算されないということなんです。

※損失が出た場合は、損失の確定申告をすると、翌年以降、最長3年間、株の利益と損益通算することができます。


妻が株で儲けた時は?

また、B家の場合、国民健康保険に加入している妻が、株の利益を申告をする時にも似たようなことが起こります。

<国民健康保険の場合>

国民健康保険料は世帯合算なので、Bさんの妻の所得が増えると保険料が上がったり、 税金面では、夫の配偶者控除の適用外になったりする可能性も出てきます。

B家は国民健康保険でしたが、夫が会社の社会保険に加入していて、 妻が扶養だった場合は、どうでしょうか?

<会社で入る社会保険の場合>

妻の所得は、健康保険料に関して影響はありませんが、妻が社会保険の扶養から外れてしまったり、 税金面では、配偶者控除の適用外になったりするケースが出てくるでしょう。

妻自身が会社の社会保険に加入している時は、扶養や配偶者控除に関する心配はありませんが、 株の確定申告する場合にはトータルで考える必要がありますね。



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