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パート収入と年金収入がある親の扶養

2014年11月04日

ファイナンシャル・プランナー 関山郁子

早いもので、今年も残り2カ月となりました。

年末調整の時期も近づいてきていますので、今回は「公的年金受給者の親」の扶養についてお話してまいります。

年金受給者の親がパートをしている場合

会社員のAさんと同居している64歳のお母様は、パートをしながら、今年から年金をもらい始めました。 遺族年金ではありません。 パートの年収80万円と年金収入80万円で、合計160万円の収入があるそうです。

「103万円をずいぶん越しちゃっているから、今年の年末調整で扶養にするのは無理ですよね?」というご質問がありました。

いえいえ、パート収入は給与所得で、年金収入は雑所得になりますから、お母様には、それぞれ別の控除が効きます。 扶養にできる方の所得は、38万円以下となっていますから、この金額だったらOKです。


合計所得が38万円以下かどうか

扶養の可否は、収入ではなく、所得で見ます。

よく103万円が限度額と言われのは、給与所得者の場合であって、

給与収入103万円=給与所得控除の最低額65万円+基礎控除38万円

という計算で成り立っています。

つまり、非課税限度額、扶養に入れる限度額38万円とは、基礎控除の額のことで、今回のケースのように、 給与所得と雑所得という異なる所得のある方は、それぞれ、【 収入−控除=所得 】で計算し、 合計した所得金額が38万円以下であればいいんですね。

※同じ種類の所得の場合は、別々に控除はできません。


給与所得の計算

さて、こうしたことを踏まえて計算してみると Aさん母の給与所得の計算式は、以下のようになります。

80万円−給与所得控除の最低額65万円=給与所得15万円

それでは、年金のほうはどうでしょうか?


雑所得(年金所得)の計算

年金収入を考える際に注意をしていただきたいことは、もらっている年金が遺族年金の場合は、非課税であるということです。 年金の一部や全部が遺族年金の場合は、その分を所得額を出す計算には含めません。

Aさん母がもらっているのは、ご自分の年金です。雑所得はいくらになるでしょうか?

公的年金等の控除額は、65歳未満と65歳以上とでは金額が異なり、

 ・ 65歳未満の控除の最低額は 70万円
 ・ 65歳以上の控除の最低額は120万円
 となっていますので、

64歳のAさん母の場合は、

年金収入80万円−控除の最低額70万円=雑所得10万円


合計所得は下回る

つまり、Aさん母の所得は

給与所得15万円+雑所得10万円=所得合計25万円

扶養に入る所得の限度額38万円を下回っていますから、 息子であるAさんの扶養になることができるんです。

 ・ 異なる所得には、それぞれ控除の計算がある
 ・ 収入と所得は、指し示す金額が違う
 ということを覚えておいてくださいね。


今回は、扶養に入るかどうかの限度額のお話でしたが、 給与や年金は、収入に応じて、控除の額が異なります。 詳しく知りたい方は、以下のページでどうぞ〜☆

<参考>
国税庁:No.1410 給与所得控除

国税庁:No.1600 公的年金等の課税関係



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