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ペイオフよりも怖い、預貯金のピンチ!

2010年10月8日

ファイナンシャル・プランナー ゆりもとひろみ

盗難と詐欺・・・保護の度合いが大きく違う

「ペイオフ」というのは、金融期間が破綻した場合、1000万円までの預金とその利息は保証されますが、それ以上はどうなるか分かりません、という仕組みです。

先月、日本振興銀行の破綻で、初めてペイオフが発動され大騒ぎになりましたが、「我が家には関係ない話よねー」と、スルーした人も多かったかもしれません。住宅を買ったり、繰上げ返済をしたり、子供の教育資金を準備したりと、1000万円以上の現金を無造作に預けておける方は、割合としては少ない、と推定いたします。

ところが、最近、ほとんどの皆様が被害に遭う可能性がある預貯金の詐欺被害が急増しています。

オレオレ詐欺から始まって、還付金詐欺や定額給付金詐欺まで、詐欺の手口は年々巧妙化しています。それ以外にも、スキミング被害やフィッシング被害など、自分になにか落ち度があったと気づきにくい詐欺も多種多様に存在し、取り締まる側とのいたちごっこを繰り返しています。

盗難ではなく、詐欺被害の場合、皆さんの心情に反して警察や金融機関の保護は薄いことが多いのです。これは法律上の問題が関係しています。

法律上、「盗難」と「詐欺」では保護の度合いが大きく異なります。「盗難」というのは、本人の不可抗力で起きた被害だということで、手厚い対応が受けられます(所得税の還付を受けられることもあります)。

これに対して、「詐欺」の被害は、「被害に遭ったあなたにも多少の原因(過失)があったんでしょう」という考え方なので、あまり保護してもらえないのです。

でも、実際の預金関係のシステム不備を突いた被害は、私達の心情的には、盗難と変わらないショックですよね。私達にできることといえば、

  個人証明のある金融機関(指紋とか静脈とか)を利用する
  ひんぱんにATMで出し入れする口座には、大きなお金を入れておかない
  一日の振込みや引き出し限度額を低めに設定しておく

などの対策が考えられます。

さらに、今回は、FPとして、「少しまとまったお金」を護る方法を、ご紹介いたします。

それでは、第25のワザ をお送りします。

【第25のワザ】 保険を使って資産をまもる
保険で資産をまもる(1)・・・一時払終身保険

100万円や200万円といった、ちょっとまとまったお金があり、今すぐには使わないので普通預金の口座に入れてある、という方が、資産をまもりながら、しかも預貯金より多少有利に運用できる方法があります。

「お金が貯まる保険ってことは養老保険でしょう?」

と思った方、よく勉強されていますが、ブブーッ、不正解です。

現在、養老保険はほとんどの商品がいわゆる『元本割れ』です。じつは終身保険を一時払いすることで、3年以上たつと解約返戻金が払込みを上回る商品が数社から出ています。

例えば、200万円で一時払い終身保険を購入します。3〜4年目からは解約しても元本割れすることなく、毎年1%ていど解約返戻金が増加していきます。さらに加入者の年齢に寄りますが、300万円〜400万円程度の死亡保障も付きます。

加入して3〜4年後、市場金利が上昇していれば、解約して預けかえることもできるし、そのまま保障を継続しながらお金を増やすこともできます。第3者が勝手に保険を解約することは、一般的にありえないことなので、お金を護るという観点から言えば、現時点では、定期預金より安全と言えるかも知れない方法です。

当座3〜4年は使う予定がない、ちょっとまとまったお金の防犯&運用対策としてご紹介させていただきました(このほかにも、個人向け国債など、預金よりは利回りを期待できる金融商品を利用するのも同様ですね)。

保険で資産をまもる(2)・・・住宅総合保険

意外と知られていませんが、住宅にかける火災保険のうち、 住宅総合保険という保険は、200万円までの資産の盗難を補償してくれます。

以前、夫の知人が、盗まれた通帳で200万円の定期預金を解約・引き出される、という被害に遭いました。

定期預金の中途解約であり、解約書類は印鑑も違いました。

さらに住所を書き間違えているという不自然さにもかかわらず、窓口の担当者は簡単に解約を受理してしまい、抗議しても金融機関は謝らず、突っぱねられたそうです。

その方は、裁判をする労力と、負けた場合の負担を考えて、泣き寝入りしかけていたのですが、何と、「住宅総合保険」がこの件を「盗難による被害」と認定し、200万円を出してくれたそうです。

「住宅総合保険」は、「住宅火災保険」に比べて、天変地異による被害のカバー範囲も広いですし、盗難の補償も付いており、メリットが多いです。

(注意 : 住宅総合保険は、詐欺の場合、補償の対象外です)。

皆さんのご家庭の火災保険はどちらなのか、一度確認してみてくださいね。

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