家計診断シリーズ<6>
夫が転職失敗で派遣社員に。子どもが欲しいけど、家計が心配です。
2009.6.25
Q. 主人が最近転職に失敗し、現在派遣社員です。ここ数年で収入も貯蓄もかなり減ってしまいました。年齢的にそろそろ子どもが欲しいのですが、経済的な不安から、なかなか出産への決意ができません。出産で私の収入がなくなると家計が成り立たないので、どうしたらよいでしょうか?
(Hさん、夫と2人暮らし)
Hさん パート 30歳
「主人のおおらかさは良いところですが、経済的に安定しないと、慎重派の私は不安でいっぱいです。いつも家計を見直していますが、どれも欠かせない支出ばかりです」
夫 派遣社員 38歳
「うまくいくと思ったんだけど、安易に転職してしまったことは反省しています。今は、しっかり者の妻の言うとおりに、支出の見直しを始めています」
現在のローン内訳
住宅ローンは変動金利なので、金利が上昇したときの返済額アップが心配です。
自動車ローンはあと1年で終了なので、がんばって払いましょう。残高21万円は預金から一括返済も可能ですが、今は現金が減ると不安なので、そのまま月払いを続けたほうがよいでしょう。
テレビ付き携帯にしたり、パソコンメールをすべて携帯に転送したりといった使い方を見直せば、夫婦で5,000円は節約できそうです。
緊急事態ですので、保障は最低限だけカバーして保険料を減らしましょう。夫死亡保険は、お子さまがひとり生まれた場合の必要保障額をカバーしています。
現状 ・・・ 保険料合計:1万5,000円
夫死亡保障:2,000万円 / 夫入院日額:10,000円+ガン保障
妻入院日額:5,000円+女性疾病
見直しプラン ・・・ 見直し後の保険料合計:6,010円
夫婦の入院保障は、一旦「共済の医療タイプ」に切り替え。入院日額6,000円保障で月掛金1,600円と割安です。保障は60歳まで続けられます。
夫死亡保障は、保険料が割安なA生命の収入保障保険で準備。最大保険金額2,640万円で、毎年120万円ずつ保障が減っていきます。保険料は月2,810円(非喫煙割引つき)。
見直し1.2.を実行することで、
月間支出 ・・・ 1万4,000円カット! ⇒ 月間収支 ・・・ プラス9,100円
(年間プラス10万9200円 − ボーナス赤字 9万円)
年間収支 ・・・ プラス1万9,200円(16万8,000円改善!)
住宅ローン・管理費などを含めた住居費は約9万円で、ちょうどHさんのパート収入と同じくらいの金額です。ここのコストカットができれば、安心して産休に入れそうです。
< 住宅ローンの返済がキツイ場合の選択肢とHさんの場合 >
(1)自宅を売却して、安い賃貸に移り住む ⇒ ×
頭金ゼロで買っているため、売値より500万円くらい残債が多い。残債分
の資金を準備しないと売ることができないので、家計改善にはならない。
(2)自宅を賃貸に出し、自分はもっと安い賃貸に移り住む ⇒ ×
Hさんの町では、ローン返済額の賃料は期待できず、空室リスクなどもあるので改善は見込めません。車関連の支出が大きいため、車の不要な町に移り住むならメリットが出ますが、エリアは動けないことなので。
(3)夫婦どちらかの実家に同居させてもらう ⇒ ×
夫の実家は遠方で無理。妻の実家は近いが狭いので無理。
(4)実家の両親を引きとって、家賃を一部負担してもらう ⇒ ○
Hさんのマンションは4LDKと広く、妻の両親と同居することは可能。家賃や生活費を一部負担してもらえますし、ご両親からの子育て援助も期待できるので、出産後すぐに働くことも可能になります。ただし、お父様は要介護状態なので、将来ご両親の介護を担っていく覚悟が必要です。Hさんやご両親の気持ちの整理が必要ですが、現時点では一番よい選択肢と考えられます。
不況期は転職しても収入ダウンの可能性が大
Hさんの家計のいちばんの悩みは、現在の収入に対して住宅ローンの負担が大きすぎることです。結婚と同時に全額ローンで新築マンションを買ってしまったことと、その後ご主人が転職に失敗したため、収入が大幅にダウンしたことが2大原因です。
ご主人のおおらかでチャレンジングな性格は長所ですが、住居取得や転職という決断は、もっと情報を集めて慎重に行うべきだったといえます。住宅ローンを組むと、数十年やめられない支払いが続くので、無理のない返済計画とセットで転職を考えることが必須です。
特に最近の不景気で、お給料が減ったので転職を考えているという話をよく聞きますが、会社の待遇に不満で転職しても、お給料はさらに下がってしまう危険があります。今は支出を引き締めてぐっと耐え、将来使える資格取得や勉強をして、景気が回復してきたら勝負をかけるほうが勝率は上がりそうです。
親との同居もベターな選択肢
また、Hさんは出産を望んでいますが、家計の状態からあきらめるべきか悩んでいます。ご主人の派遣先は、突然契約打ち切りになるような業種ではないとのことですが、将来設計を考えると不安とのことです。それでも子どもが欲しいという場合、Hさんのとるべき選択肢は2つあります。パートから正社員への再就職をめざし、子どもの養育費をまかなえる安定収入確保を目指すか、ご両親を引きとって、主婦業の中で家族を支え続けていくかです。
Hさんとしては、キャリアをめざすよりは家庭の人になることを希望しているので、後者のほうがベターな選択肢のようです。
私としては、ぜひHさんにママとしての喜びや苦労を経験し、素晴らしい家庭を築いていただきたいと思います。ご主人、ご両親とよく話し合って、安心して出産に踏み切れる環境が整うよう応援しています。
ゆりもとひろみ
雑誌『アー・ユー・ハッピー?』2009年4月号掲載分 2009.6.25 再編集
お金のプロフェッショナルである、ゆりもとFP事務所が、
富の法則をマスターするための「マインド」「行動」「情報」を発信中☆
【 お金と幸せを引き寄せる 富の法則 】 無料登録はこちらから >>