カードローンを数社から借りて返済が苦しいのですが……。
2008.02.05 / 2010.10.04 内容一部更新
Q. 数年前、主人の収入ダウン(ボーナス年間50万円削減)があったころから、生活費の不足分をカードローンで補うようになり、いつの間にか数社から借りて返済額ふくらみ、家計がさらに苦しくなってきました。まだ不払いは出していませんが、返済を続けるのが厳しいです。
30代専業主婦 Hさん
家族構成 : 夫40代、年収430万円(税込)・長男(中学生)・長女(小学生)
A.「金利の落とし穴」に気をつけてください! 利息だけを返して無限に支払い続けるパターンに陥らないようにしましょう。
1.ローンの基本的な仕組みを知る
ゆりもと(以下「ゆ」) まずは、「借入金利」「毎月返済額」「返済のうち利息にいくら払っているのか」「完済は何年後になるのか」などを、一覧表にして整理してみましょう。
Hさん(以下――) わかる範囲でまとめてみました。こんなに利息を払っていたとは驚きました。
<Hさんのカードローンなどの借入れ状況>
ゆ 毎月9万円の返済をしているのに元金は2.6万円ずつしか減っていませんね。このままであれば不払いを出さずに返し続けても、短いもので4年、そこからまた他のローンを返して、完済まで10年近くかかって、総返済額は800万円以上になってしまいますよ。
―― えっ、800万円!? どうしてそんな金額になってしまうのですか?
ゆ 借りる際には、ローンの基本的な仕組みを知っておかないといけません。 返済額からまず利息を差し引き、残った額を元金に返していくようになっています。
毎月定額返済していく「リボ払い」で返済額が少なめだと、利息ばかり払って、元金がなかなか減らない状態になります。特にC社のローンは利息しか払っていないので、このままであればいつまで払っても完済できないということになります。
◆ 「リボ払い」とは?
毎月の返済額をあらかじめ決めて返済していく方法です。カードは利用限度額があり、限度額以内であれば、何度でも買い物をすることが可能なため、多重債務に陥りやすい方は、カードでの支払いやキャッシングが常習化し、借入額が常に限度利用額の上限に張りついている傾向があります。 リボ払いにすると、完済までの期間や、いくら利息を払っているのかが見えにくいのが注意点です。
◆「分割払い」とは?
支払や借入れを「○回払い」と決めて返済していく方法です。毎月の返済額は何回払いにするかで決まります。 リボ払いと比べると完済までの期間がわかりやすく、返済計画が立てやすいといえます。
―― 残高は知っていましたが、そんなに返さなくてはいけないとは知りませんでした……。
ゆ こういう金利の仕組みを知らずに安易に借りて、あとから「なんで返済が終わらないんだろう」と苦しむ人が多いんですよ。
金利15%で100万円を借入れ、毎月2万円を返済する場合いくら金利を支払うでしょうか?
【計算式】 金利をひと月あたりに直すと 15%÷12ヶ月=1.25%
1,000,000円 × 1.0125 = 1,012,500円
1,012,500円 − 20,000円(毎月返済額) = 992,500円
2万円返済しても、そのうち12,500円が利払いに消えるので、元本は7,500円しか減りません。完済までにかかる期間は約6年半、返済総額は158万円になります。ですから、「6年半返済で金利は58%払う」と考えるほうが、現実に近いといえます。
※実際は、返済1回目には金利がつかなかったり、金利以外の手数料がかかることがあるので、上記の計算とは少し金額がずれることがあります。
2.返済額を減らすには?
――少しでも返済額を減らす方法はないのですか?
ゆ 「おまとめローン」や「不動産担保ローン」を利用して、借入れを少しでも金利の低いローンに一本化することを検討してみましょう。別表で参考商品や金利例をご紹介します。借換えがダメだった場合は、金利の高いローンから少しでも繰り上げ返済をして、元金を減らしていくしかありません。本当は、返済計画なしにローンに手をつけた時点で大変問題だったのです。1枚目のカードが限度額いっぱいになり、2枚目を借り始めた時点で危険信号でした。せめて、その時点で対策を立てれば、今より何倍もラクに完済できたと思います。
――本当に考えが足りなかったと思います。あと10年もこの状態が続くのはつらいです。
ゆ でも、今がんばって10年以内に精算できれば、残りの人生はお金に苦しまずにすみますよ。もし、借換えで金利を15%のローンに一本化できたとすると、毎月の返済額は約6万円に下げることができ、8年で完済することができます。
――6万円なら、何とか返済を続けられそうですし、繰上げ返済もできるかもしれません! さっそく調べてみます。
※ おまとめローン:無担保で消費者ローンをまとめて借り換えることができます。信用力があり金利が低い金融機関ほど審査が厳しくなります。
※ 不動産担保ローン:不動産を担保にして資金使途を問わない借入れ、借換えをすることができます。
ご注意: 最近では、利息制限法の上限である法定金利を超えて支払った利息を取り戻すことができる可能性もあります。該当するかもしれないと思った方は、借換え前に検討しましょう。借り換えた後では、請求が難しくなります。
※法定金利:元本10万円未満…20%/元本10万円以上100万円未満…18%/元本100万円以上…15%
◆ カードローンで困ったときの相談先 : (財)日本クレジットカウンセリング協会
Hさんの例のように、最初は軽い気持ちで、生活費などを補填するためにカードローンを利用するケースが多いようです。お給料やボーナスが入ったら返そうと思っていたところ、不意の出費や収入ダウンで借入額がふくらみ、気がつけば「多重債務」に陥っているというパターンになりがちです。
ローンの仕組みを知り、表面金利ではなく、実際はいくらの利払いが待ち構えているかを計算することができれば、いかに割りの合わないことをしているか、ご理解いただけると思います。やむをえず一時的に借り入れる場合でも、1回払いなど金利のつかない返済方法にして、返済を先延ばしにしないようにしましょう。
また、現在カードローンなどをかかえている方は、金利の高い順に返済計画を立て、いつまでに完済するか、きちんと見通しを立てましょう。
借金というのは、将来の人生を先食いしている、とてもリスクの高い選択です。入ってくる以上のお金を使わずに少しでも黒字にしていく、「家計の王道」をめざしていただきたいと思います。
ゆりもとひろみ
雑誌『アー・ユー・ハッピー?』2007年9月号掲載分 2008.02.05 再編集
2010.10.04 内容一部更新
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