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家計診断シリーズ<8>
投資用マンションは赤字、夫は定年…。どうすればいい?

2010.5.24

Q. 夫が今年6月で退職になります。その後の収入は大幅ダウン。住宅ローンのボーナス払いが払えなくなるのと、子どもたちの学費捻出が悩みのタネです。また投資用マンションを持っていますが、昨年から賃料が下がり赤字がふくらんでいます。夫の退職金1600万円をどのように使うのがよいのでしょうか?

Kさん 47歳(会社事務職)/夫 サラリーマン59歳/長男 19歳(大1)/長女 16歳(高1)

Kさん談:「どうも金銭管理に弱く、2人の子どもの学費はもっと早くから準備しておけばと、計画性のなさを反省しています。私が買うのを決めた投資マンションも、もしかして失敗だったかしら? でも明るく、くよくよしないのがとりえなので、おおらかな主人と一緒にがんばります」

夫談:「今年6月で定年。妻とは再婚です。前妻との間に娘が1人いましたが、私のほうが前妻から勘当され、ずっと音信不通です。妻はこんなに年が離れているのに結婚してくれて、感謝しています」


A.投資用マンションは売却し、退職金は自宅住宅ローンボーナス分の一括返済にあてましょう。

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家計の見直しポイント
point1:投資用マンションは売却して損切り ⇒ 月5万円のカット

投資用ワンルームマンションの資産状況は、残債1600万円で、現在の売却推定額1350万円です。このまま保有し続けていくと、

  昨年からの家賃収入 : 年間90万円
  ローン : 変動金利4.25% 年間返済額138万円 あと17年
  管理費・修繕費・火災保険など : 年間12万円

家賃収入90万円 − ローン・諸費用150万円 = 年間60万円の赤字


投資用マンションの選択肢と今後の赤字度を考えると、

選択肢A : 持ち続けてローンを払う ⇒ ××× 今後10年間で600万円の赤字

選択肢B : 退職金で一括返済して持ち続ける ⇒ ×× 黒字転換は23年後以降
また、不動産所得が発生し課税される。家賃収入の手取りでは、住宅ローンのボーナス払い分に足りない。

選択肢C : 今、売却した場合 ⇒ ○ 手数料を含めて300万円の損切り

300万円以上赤字は拡大しないので、経済的メリットは一番高い。

point2:生活費の引き締め&奨学金の利用 ⇒ 月12.5万円のカット

生活費月20万円 ⇒ 2万円カット
(保険の見直しや水道光熱費・携帯代の節約で可能)

妻こづかい月2万円 ⇒ 5千円カット

長男学費月12万円のうち、10万円を日本学生支援機構2種奨学金を利用し、支出を繰り延べ。子どもたちには、奨学金を利用しないと学費が出せない現実をきちんと話しましょう。

point3:退職金で住宅ローンのボーナス分を繰上返済 ⇒ 年96万円のカット

ローン ご自宅の資産状況を見ますと、残債2500万円(月々返済分1250万円、ボーナス返済分1250万円)、現在の売却推定額4000万円です。今後のローンの支払いは、

 ローン : 変動金利2.05%
 年間返済額 : 192万(月8万円×12+ボーナス96万円)
 あと15年

退職金から、1250万円を完済して、月々の返済のみにすると、約300万円の利息削減効果があります。月払いなら、なんとか支払い続けることができそうです。退職金の残りは、教育資金として死守しましょう。

見直しポイント番外編! 夫の相続対策

夫死亡時の相続財産が自宅のみだった場合、前妻との間の娘さんが、相続の権利を主張すれば、遺留分として相続財産の12分の1を渡さなければいけない可能性があります。不動産の相続税評価額が3000万円なら250万円の財産分与となり、現金がなければ借入れか、最悪自宅売却が必要になる恐れがあります。

<対策> 婚姻20年を超えていれば、居住用財産なら2000万円分まで、非課税で夫⇒妻に贈与できる制度を利用するのが一般的です。自宅を奥様の財産にすると相続対策になりますので、収支の改善が完了すれば見当しましょう(詳しくは税務署・税理士・司法書士に相談を)。

投資用マンション購入は、中身をよく確かめて!

Kさんに投資用のワンルームマンションを購入した動機を伺うと、「生命保険料がもったいなので、投資マンションを買ってローンを組めば、保険料を減らせると思ったんです」とのお返事でした。

夫の生命保険を増やすかわりに、不動産投資をすることで、ローンと同額の「団体信用生命保険」に保険料負担なしで加入するというのは、大変すばらしい発想だったといえます。けれど失敗だったのは、不動産投資に対する知識がないまま、新築ワンルームマンションを衝動買いしてしまった点です。

ワンルーム販売会社が計算してくれる利回りだと利益が出そうに見えたのですが、よく調べると、固定資産税や他の経費が計算に含まれていなかったり、金利上昇によるローン返済額のアップ・新築プレミアがなくなったあとの家賃ダウンなどが含まれていませんでした。

損益計算をきちんとしないで始めてしまうと、Kさんのように大赤字になってしまうケースも少なくありません。不動産投資というのは、想定できるリスクを含めて計算しても、利益が出る可能性が高いと考えられるときにやるものです。しっかりと勉強するか、信頼できる専門家に相談することで、成功率を上げることができることを知っておいてくださいね。

集合住宅 当面は自宅と投資マンションのローンを整理して、奨学金も利用することで、なんとか収支均衡にまで持っていけそうです。幸いなことに奥さまがお若いので、教育費がかかる間は現役で働いて家計を支えることができます。夫婦仲がよいのは宝物ですので、持ち前の明るさでがんばってほしいと思います。

 ゆりもとひろみ

雑誌『アー・ユー・ハッピー?』2009年3月号掲載分 2010.5.24 再編集


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